まずまずのスタートを切った広島のマクブルーム(写真提供・広島東洋カープ)
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 各チーム約10試合を消化した今年のプロ野球。大勢(巨人)や隅田知一郎(西武)などルーキーの活躍が目立つ一方で、新外国人選手については苦しんでいるチームが多いように見える。

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 まず大きな誤算となったのがケラー(阪神)だろう。退団したスアレス(パドレス)に代わる抑えとして期待されて入団したものの、開幕戦のヤクルト戦でいきなり2本のホームランを浴びて負け投手となると、3月29日の広島戦でもワンアウトしかとれずに2安打、1四球の内容で逆転サヨナラ負けを喫し、再び負け投手となった。ストレートのスピードは前評判通りコンスタントに150キロを超えるものの、大きな弱点となっているのが変化球だ。

 カーブは結果球となった6球全てでヒットを打たれており、2本のホームランもいずれもこのカーブをとらえられたもの。ブレーキに乏しく、コントロールも甘いため打者に余裕を持って対応されているように見える。いくらストレートが速くてもリリーフ投手であれば150キロを超えるのは当然の時代となっており、使える変化球がないのは大きな弱点である。現在は二軍で調整となっているが、新たな球種をマスターするなどしなければ大事な場面で起用するのは難しいだろう。

 野手でいきなり暗雲が立ち込めたのがギッテンス(楽天)だ。メジャーでの実績はないものの、パワーに関しては一級品との触れ込みで来日し、二軍では7試合の出場で2本塁打、4割を超える打率をマーク。4月5日の西武戦で一軍デビューとなったが、その試合の第2打席で空振りをした際に右手首を痛めて途中交代となり、わずか1日で登録抹消となったのだ。楽天は昨年もカスティーヨがデビュー戦でわき腹を痛めて途中交代しており、これで2年続けて新外国人の故障に悩まされることになった。

 前述した通り二軍では順調なスタートを切っていただけにしっかり回復すればまだまだ巻き返しは可能だが、打撃に影響の大きい手首というのは何とも気になるところである。もう1人の新外国人選手であるマルモレホスも今のところ低迷しており、ギッデンスの故障が長引くようであればシーズン途中でも新たな外国人選手の補強を検討する必要がありそうだ。

 その他の選手でもメジャーで実績抜群のポランコ(巨人)も3本塁打と長打力は発揮しているものの打率は2割台前半に低迷しており、外野の守備でもまずいプレーが目立つ。もう1人の大物野手であるガルビス(ソフトバンク)も開幕戦でいきなり逆転満塁ホームランを放つド派手なデビューを果たしたが、その後は不振が続いておりまだ本領発揮とは言えない状況だ。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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