例えばショットの精度。本大会3日目には2つのダブルボギーを叩き5オーバー77と崩れたが、この時のフェアウェイキープは14回中8回で57.1%。パーオン率も18ホール中10ホールの成功で55.6%と苦戦した。本人も3日目を終え「特に(ショットが)曲がった一日。悔しい」と振り返ったが、4日間を通じたこのスタッツがそれぞれ76.8%、70.8%だったことを考えると、やはり上位進出するためには、安定したショットが求められる。

 これは、前週のJTBCクラシックにも当てはまる。渋野はこの大会で72位タイに沈んだが、これは最終日に8オーバー80と大崩れしたことが原因だ。3日目を終えて28位タイとまだ上位を狙える位置にいただけに、何とも悔やまれる結果となったが、この最終日の乱調もショットが大きな要因となってしまった。

 フェアウェイキープこそ14回中11回にまとめたが、パーオン率は18ホール中8ホールの成功で44.4%。この日はこれに35パットというグリーン上での不調も響いたが、同じく35パットだった初日は、フェアウェイを外したのが1回、フェアウェイキープは100%だったため1アンダーにスコアをまとめており、やはりショットの好不調がスコアに影響していることは間違いないだろう。

 また、崩れた時のスコアのまとめ方も改善すべき点だろう。上記の通り、渋野は先週(シェブロン選手権)とその前週(JTBCクラシック)の2週間で77、80というスコアを出しているが、前回77以上を叩いたのは、昨年の国内ツアー、マスターズGCレディースの初日の78。公式戦では約半年間、日米に関わらず、こうしたスコアを出すことはなかった。

 渋野は80を叩いたJTBCクラシックの最終日に2度の連続ボギーとダブルボギーを1つ、77だったザ・シェブロン選手権3日目ではダブルボギーを2つ記録した。アマチュアゴルファーにも当てはまるが、ダブルボギーを叩くとこれを取り戻すのには、通常はバーディが2つ必要なわけで、スコアメイクが難しくなる。

 今後の渋野は、ショットをより安定させてボギーを繰り返してしまったり、ダブルボギー以上の“ビッグイニング”を作らないことが大切。当たり前のようだが、やはりスコアが悪い時はこうした分かりやすいミスをしているので、大怪我をしないマネージメントが必要になってくるだろう。

 とはいえ、メジャー初戦を上位で終えたことは今後のプレーにも大きな自信となったはず。メジャー2勝目に向けて視界は悪くなさそうだ。

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