身支度しにくいクロゼット。子どもと自分の洋服屋バッグが混在/ビフォー
身支度しにくいクロゼット。子どもと自分の洋服屋バッグが混在/ビフォー
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 5000件に及ぶ片づけ相談の経験と心理学をもとに作り上げたオリジナルメソッドで、汚部屋に悩む女性たちの「片づけの習慣化」をサポートする西崎彩智(にしざき・さち)さん。募集のたびに満員御礼の講座「家庭力アッププロジェクト®」を主宰する彼女が、片づけられない女性たちのヨモヤマ話や奮闘記を交えながら、リバウンドしない片づけの考え方をお伝えします。

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case.21 パートナーシップは努力が必要。片づけで解決!

夫+子ども3人/教育関係

「夫が単身赴任先から帰ってくる、と聞いたら『ゲッ』って感じで(笑)。夫は家にいても自室で本とか読んで、ご飯ができたのを察してダイニングに出てくる。一瞬で食べてまた部屋に戻る。食べるだけなのになんで帰ってくるんだろうね、そんなことばかり考えていて」

「前は夫への被害者意識でいっぱいだった」と言う女性は、単身赴任中の夫と3人の子どものいるお母さん。2020年に45日間で家をまるごと片づける家庭力アッププロジェクトに参加しました。

 彼女は20代で結婚して10年以上を転勤族として過ごしました。2、3年おきに引っ越してはゼロから暮らしを立て直す生活。自分だけならまだしも、子ども3人分の学校の転入、アウェーでの学校行事、人間関係づくりは大変だったと振り返ります。

 企業戦士な面がある夫は、子どもの行事には参加したことがありません。頼らないし頼れない、と転勤族の妻は、一人で何とかする意識を染み込ませていったと言います。

 十数年来の緊張の糸が切れたのは、上の子が中学受験に合格したとき。夫は単身赴任中で、彼女は下の子が環境になじめない不安とはじめての受験を、ワンオペでのり切りました。すると、急に家庭に意識がいかなくなったとか。

「もちろん受験が子育てのゴールであるわけないけど、ちょっとくらい休んでいいよねと、気持ちが外に向かって。今思うとバランスが悪かったです」

 意識が家から外れると、部屋は少しずつ散らかり、人を呼べなくなり、目を背けたい場所に。そんな折に来た、コロナ禍。つかの間の自由さえ消えてしまった。

「夫、子ども、何もしない人が家にいっぱい。私を邪魔する存在に見えました。夫は何で機嫌が悪いんだろう、とわからなかったはず。うつうつとして家族と目を合わすのも嫌でした」

 やっとコロナ休校が終わったと思ったら、真ん中の子が不登校に。熱心な先生からは、たびたび連絡が来る。下の子は面談のたびに注意される。言われたところでどうすればいいのか。自分を責め、全部自分がやらなきゃと追い込まれました。

 そんなとき部屋は、引っ越しつづきで物は多くないけど、収納の中は何がどこにあるかわからない状態。彼女は、家事が少しでも楽になればとプロジェクトに参加したのでした。

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「夫をあてになんてしていなかった」