アイテムごとに住所が決まったクロゼット。バッグは立てて取り出しやすい/アフター
アイテムごとに住所が決まったクロゼット。バッグは立てて取り出しやすい/アフター

「プロジェクト前に理想の家庭のゴールをいろいろと書いたけど、正直、明るいほうはまったく信じられませんでした。夫をあてになんてしていなかったし、これより悪い状況だけは避けたかった」

 不安から始まったプロジェクト。しかし終了して一年半が経ち、今は「夫が週末に帰れないとなると、残念に思う」という変わり様。

 夫は実は理想の人だったと言う彼女、何があったのでしょうか。

「結果的に、夫はプロジェクト中に家事が全部できるようになっちゃったんです。料理も洗濯も掃除も子どもの送迎も。負担だった先生との連絡は『そんなの僕がやるよ』と肩代わりしてくれて」

 彼女は夫への接し方を変えてみました。課題図書の『7つの習慣』を読み、相手に期待することは不自由だと知り、「本当に変わる必要があるのは、夫だけなのだろうか」と自問自答したのです。子どもの話で少しずつ歩み寄っていきました。

「家事をするようになったきっかけは、雑談中に夫にプロジェクトのことを話したとき『ふーん、僕にも家事を教えて。わからないから』と言ってくれたとき。最初、食洗機にお皿を横向きに入れたりしてびっくりしたけど、完璧は求めず、洗濯物の干し方、簡単な料理の仕方まで全部教えました」

 夫に期待はせず、希望だけ抱いて、「信じてまかせる」を続けていきます。家事をやってくれないという思い込みはいったん横に置いて。

「これまで夫は、私の機嫌がいつも悪く、協力って雰囲気にもならなかったのかと。九州生まれの長男で家事になじみがなく、必要性がわからなかったみたい。私は一人でふてくされて、家事をしない夫を仕立てあげたかったんだと思います。何も教えないのに『ほらね?やらない』って諦めて、自分中心の暴君のようでした」

 片づけによる効果はもちろんあります。家族の動線に沿って、下の子がランドセルを置く位置、お弁当箱のセットの置き場所、すべての物が収納されると、夫にとって家事をやってみようかなと思える環境になり、彼女のイライラは消え、子どもは自分で物を定位置に置くように。楽しそうに家事をするお母さんに、家族は影響されたのでしょう。

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家事は仕事を妨げる、という思い込み