西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)氏。老化に身を任せながら、よりよく老いる「ナイス・エイジング」を説く。今回のテーマは「好みは変わるもの」。
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【女好き】ポイント
(1)86年も生きていると、好みというのは変わるもの
(2)食については最近、ビーフカレーが嫌いになった
(3)女性の好みは、変わったというより、幅が広がった
86年も生きてきて思うのは、好みというのは変わるものなのだなあということです。
まずは食についてです。私が大学に入ったのが1954年。学生食堂のメニューはカレーライス、ラーメン、メンチカツ定食の3種類だけでした。
カレーライス好きはこの頃からずっと変わりません。ところが最近はビーフカレーについては嫌いになってしまったのです。ビフテキとか牛肉は好きです。不思議ですね。
さて、次は女性についてです。私が「この女性が好きだ」とはっきり思ったのは、中学生の頃です。当時、上映されていた映画『山のかなたに』(1950年、新東宝制作)に出演していた女優の角梨枝子さんに惹かれたのです。彼女のキリッとした色気をたまらなく感じました。いわゆる小股の切れ上がったいい女というのでしょうか。そういう雰囲気の女性が好きなのです。これは、ずっと変わりません。映画『荒野のガンマン』(1961年)で主演したモーリン・オハラもそういうタイプの女性です。映画の中で彼女に出会い、その魅力に圧倒されました。イングリッド・バーグマン、ダニエル・ダリュー、ジェーン・ラッセルという女優さんも好きです。角梨枝子さんを除いて、私はどちらかというと、西洋人好みなのかもしれません。
ところが、その女性の好みに最近になって変化が生まれてきたのです。そのきっかけは、私が敬愛する白隠禅師の次のようなエピソードを知ったことによります。