よく、「ほめる」子育てが推奨されていますが、子どもの実行機能を高めるという視点から私がお勧めするのは、「共感する」子育てです。もちろん、ほめること自体は悪いことではないんですが、賞罰のような形で子どもを支配してしまうと、子どもの自主性は伸びにくい。むしろ、何かが一人でできたら、「できたね」というふうに、一緒にその場の背景や経験を共有してあげるような声かけや関わり方がよいでしょう。
幼少の頃、藤井さんが何かに熱中している時、親御さんは子どもがやり遂げるまで決して邪魔をせず、そっと見守っていたという逸話があります。そもそも将棋は一人で向き合う競技。モンテッソーリ教育や、家庭の子育て方針、将棋の文化、いずれも、今の藤井さんの活躍につながっているところがあるかもしれないですね。
(構成/ノンフィクションライター・古川雅子)
※AERA 2022年4月18日号