この数字がどれだけ突出したものかというのを分かりやすくするために、昨年の山本由伸(オリックス)と2013年に24勝0敗という成績を残した田中将大楽天)の数字を並べてみると、以下のようになっている。

■山本由伸(2021年)26試合 18勝5敗 193回2/3 被安打124 自責点30 与四死球42 206奪三振 防御率1.39 被安打率5.76 与四死球率1.95 奪三振率9.57 WHIP0.85

■田中将大(2013年)28試合 24勝0敗 212回 被安打168 自責点30 与四死球35 183奪三振 防御率1.27 被安打率7.13 与四死球率1.49 奪三振率7.77 WHIP0.94

 まだ4試合しか登板していない佐々木と、シーズンを通しての山本、田中の成績を単純比較することは当然できないが、どの指標においても佐々木が異次元のレベルにあることがよく分かるはずだ。山本や田中は“負けない”、“点をとられない”という話だったが、佐々木は“走者を出さない”というそれ以前の話なのだ。高校野球の世界では、江川卓が3年夏の栃木大会で5試合中3試合がノーヒット・ノーラン、残りの2試合がいずれも1安打完封という記録を残しているが、短期間とはいえプロ野球でここまで圧倒的なピッチングをした投手はこれまでの歴史でもいないだろう。

 さらに素晴らしかったのが8回を0対0で終えた時点で降板を決断した首脳陣ではないだろうか。プロ入り1年目には1年間一軍に帯同させながら一度も実戦登板させず、過保護ではないかという声も上がったが、今回も8回に100球を超えたタイミングで投手交代に踏み切ったのだ。先日の完全試合達成後にも、井口資仁監督は中6日のローテーションで1年間フル回転させるのではなく、どこかのタイミングで休養を入れることを示唆する発言をしている。圧倒的なパフォーマンスから忘れがちになるものの、佐々木は今年でまだ高校卒3年目であり、この日本ハム戦がプロ入り後15試合目の登板ということを考えれば、慎重に起用していくというのはある意味当然のこととも言えるだろう。

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まだまだピークは先?