そのルーカスくんに一番好きな選手は誰かと聞いてみたら、なんと大谷翔平という答えが返ってきた。まだ舌足らずで、普段はほとんど何を言っているか理解できないのだが、この時は大人でも覚えづらい「オオタニ」をハッキリと口にした。

「昨シーズンから大ファンなんですよ」とマルティネスさんは言った。「エンゼル・スタジアムで大谷が打席に立つたびに観客が盛り上がっていたからだと思います。ルーカスはテレビの前で、いつも大谷のスイングをまねようとしています」

 メールアドレスを見ただけでファンだと分かるヤンキース一筋のマルティネスさんだが、息子が大谷のようになりたいのは大歓迎だという。

「ルーカスにはスポーツマンで人間的に優れた選手を目標にしてほしい。大谷の態度はプレーに限らず模範的です。ダッグアウトにいる時も、ちゃんとチームメートの応援をしている。野球は一人ではできない。ルーカスには、それを学んでほしい」

■大谷にほれた野球狂

 私がコーチを務めていたメッツで、誰よりも打球を飛ばしていたのが、当時3歳のクリスチャンくん。自らを野球狂と称する父ティム・ウェリンガさんの影響で、立てるようになる前からボールを投げていたという。

 シカゴで生まれ育ったウェリンガさんは、「超」がつくほどのシカゴ・ホワイトソックスのファン。他球団の選手に肩入れなどするなと、周りから刷り込まれてきたという。にもかかわらず、そのウェリンガさんが、野球界で最も注目しているというのが大谷だ。私が大谷の記事を連載していると漏らすと、興奮して大谷のすごさを語り始めた。

「彼は常識をくつがえす選手です」とウェリンガさんは語った。

「ピッチャーとしてエース級で、打撃でもトップクラスであることを証明した。ベーブ・ルースでも現代では無理だったと思います。これ以上、エキサイティングでユニークなことがスポーツ界でありますか?」

「息子は投げるのも打つのも好きです。大谷のおかげで、父親として子どもに二刀流という大きな夢を持たせてあげることができるようになりました。不可能という思い込みから、僕らを解放してくれたんです」

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「もっと高飛車なのかと思っていた」