「バーランダーやダルビッシュは契約内容と照らし最適なタイミングでTJ手術を受けた。逆に和田毅(ソフトバンク)や藤川球児(元阪神)は時期が悪かった。和田は今でも先発で投げています。藤川も帰国後、阪神で5年間投げました。2人は術後の試運転期間中で契約が終わりました。タイミング良く契約延長できれば米国でももっとできた可能性もあります」
藤川は海外FA権を行使し、12年オフにカブスと2年総額950万ドル+出来高(3年目は球団オプション)で契約。1年目の6月にTJ手術を受け、3年目はレンジャーズと契約したが、シーズン中に自由契約となり帰国した。和田も同じく海外FA権を行使し、11年オフにオリオールズと2年総額815万ドルで契約。1年目の5月にTJ手術を受け、3年目はカブスとマイナー契約。メジャー定着を目指すも4年目オフに自由契約となり帰国した。
「長期契約をもらい、契約期間内の余裕があるうちにTJ手術を受け、リハビリをして100%で復帰する。契約が切れる時にさらなる高額契約を結ぶ。これがベストな選択肢で近年のトレンドです。田中も7年契約を結べたことで腰を据えたプレーができました。結果的にクリーニング手術のみで休みながらもプレーできる良い終わり方でした」
「佐々木が目指すべきは田中の立ち振る舞いです。コンディションを常に把握、自己管理能力に優れています。TJ手術をしなくても投げられると判断したのでしょう。また、楽天復帰後もそうですが、少しでも違和感を感じれば勇気を出して休むことができます。選手生命を考えれば素晴らしいことです。こういう投手は長く現役の第一線で投げることができます」
田中はヤンキース1年目の14年7月、右肘の違和感で15日間の故障者リスト入り。選手間投票1位で選出されていたオールスター出場も辞退すると、右肘靭帯部分断裂で全治6週間と診断された。TJ手術を受けることが予想されたが、保存療法であるPRP療法を選択し、リハビリに励み9月には戦列復帰を果たした。