また、ストレスを感じやすい時期でもあります。ストレスを感じる出来事は、学校や家庭、お金にかかわること、近親者との死別・離別といった喪失体験、引っ越しや転校のような環境変化などたくさんあります。「学生時代は、大人のような仕事のストレスがないんだから……」などと考えてしまいがちですが、将来へのばく然とした不安、友だちとの人間関係や受験の失敗、部活動のトラブル、親との関係、外見の悩みなど、大人以上にストレスを感じています。

 さらに現代社会ではSNS などの普及によって、人間関係が希薄になったり複雑化したりすることなども、うつ病の発症を増加させているのかもしれません。

【症状】

 うつ病の症状は、見えにくい「精神症状」と、体に現れる「身体症状」の大きく2つに分けることができます。

● 精神症状

 特徴的な精神症状は、「強い憂うつ感(抑うつ症状)」と「意欲の低下」です。

 気分が落ち込む、気が滅入るといった憂うつ感は、日常生活の中で誰もが経験するありふれた感情で、憂うつ感があるから病気というわけではありません。こうした憂うつ感にはたいてい原因となる出来事や心配事があり、心配事が解決したり気分転換をしたりすることで、症状が治まっていくものです。しかしうつ病の憂うつ感はとても強く、たとえ原因が解消できたとしても半月、1カ月と長期間続きます。

 一方、意欲(やる気)が低下すると、どんなものに対しても興味がわかない、何をやっても楽しくない、おっくうだ、などと感じるようになります。

 強い不安を感じる、怒りっぽくなる、集中力が低下して本や会話などの情報が頭に入ってこない、悪いことばかり考えるといった症状も見られることがあり、勉強や仕事が続けられなくなったり、通学や通勤することすらできなくなったりするなど、日常生活にさまざまな悪影響を及ぼします。

 さらに問題なのは、「自殺」につながりやすいことです。自信を失い、自分の欠点ばかりが目につくようになり、罪責感や「自分には価値がない」という思いが強くなります。将来を悲観して絶望し、生きることが苦痛になり、希死念慮(死にたい気持ち)や自殺行動が出現することも少なくありません。

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現れやすい身体症状は?