※写真はイメージです(写真/Getty Images)
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 うつ病、統合失調症、不安症といった精神疾患を持つ人の半数は10代半ばまでに発症しており、全体の約75%が20代半ばまでに発症しています。精神科医で東京都立松沢病院院長の水野雅文医師が執筆した書籍『心の病気にかかる子どもたち』(朝日新聞出版)から、「うつ病」について一部抜粋してお届けします。

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【うつ病とはどんな病気?】

 うつ病は、気分が変動することで日常生活に支障をきたす「気分障害」の一つです。エネルギーが欠乏して脳がうまく働かなくなり、一日じゅう気分が落ち込む、やる気が起きない、何をしても楽しめないといった精神症状だけでなく、眠れない、食欲がない、疲れやすいなどの身体症状が現れます。

 うつ病の患者さんはとても多く、日本では100 人に約6人が生涯のうちにうつ病を経験しているという調査結果(※川上憲人らによる世界精神保健日本調査セカンド<2016>)があります。また、女性のほうがかかりやすく、男性よりも2倍近く多いことが知られています。

 どの年齢でも発症しますが、とくに20代、30代は発症しやすく、学校や職場を含めた社会生活に大きな影響を及ぼします。

東京都立松沢病院院長の水野雅文医師
東京都立松沢病院院長の水野雅文医師

【原因】

 うつ病がどうして起こるのか、すべて解明されたわけではありませんが、長年の研究でさまざまなことがわかってきました。

 まず、心の病気であると同時に、脳の病気でもあるということ。脳にはたくさんの神経細胞があり、セロトニンやノルアドレナリンといった「神経伝達物質」が神経細胞間をつないで情報を伝えています。うつ病やうつ状態の時は、神経伝達物質の機能が低下します。もともと持っている「なりやすい体質」に、ストレスなどの「環境要因」などが重なって、こうした脳の機能低下が起こり、うつ病を発症すると考えられています。

 とくに思春期は、体も心も子どもから大人へと変わっていく途中のとても不安定な時期です。女性らしい体、男性らしい体に成長する中で、ホルモンも大きく変動します。

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思春期はストレスを感じやすい時期