「場所を押さえることができたら、次は出演キャストの募集です。学内で告知するとたくさんの応募が集まるので、ポートフォリオを出してもらい、オーディションを行います。『この役はぜひあの子に演じてもらいたい』というステージディレクターの思いを汲んだりと、ブロードウェイの公演もこういう感じなのかなと思いましたね。
公演内容を詰めていくのと同時に、プロデューサーは資金調達もしなければいけません。地域のオペラ好きの方やコミュニティーで支えてくださっている方に『今期はこういうオペラプロダクションをやるので、ぜひご協力ください』とお手紙を出して、寄付を募り、学校にもプロダクションの内容をプレゼンして予算をもらいます。
必要なアクションを学校側が準備するのではなく、すべて学生にやらせるのがハーバード流。これも『世界のリーダーになる人材を育てる』という信念の表れだと思います」
■課外活動は卒業後にやりたいことの「予行演習」
学生とは思えない行動力とクオリティーを誇るハーバードの課外活動。芸術系以外だと、最近では、ロシアの軍事侵攻を受けてハーバード生がわずか数日で立ち上げた、ウクライナの避難民と滞在場所提供者をつなぐWebサイト「ウクライナ・テイク・シェルター」が話題になった。古くはフランクリン・ルーズベルトやジョン・F・ケネディ、マイクロソフトのスティーブ・バルマーなどが編集に関わった大学新聞なども有名だ。
「オペラやミュージカルといったエンターテインメントだけではなく、ジャーナリズムも活発です。とくに『ハーバード・クリムゾン』という学内紙(オンライン版もあり)が有名。新聞社と同じようにアートや科学などさまざまな分野の記者がおり、常に新しい情報を発信しています。とても歴史のある新聞ですから、写真が好きな友達は編集部にポートフォリオを出して応募し、フォトグラファーとして活躍していましたね」