米・ハーバード大学とジュリアード音楽院を卒業・修了したバイオリニストの廣津留すみれさん(28)。現在はコンサートなどの音楽活動を行いながら、日本の大学でグローバル人材を育成するための授業も受け持っている。廣津留さんの頭の中を探るべく、どんなふうに音楽や勉強とかかわってきたのかを語ってもらうAERA dot.連載。第7回は、ハーバードの学生たちが寝る間も惜しんで取り組むハーバードの課外活動について聞いた。
【写真】廣津留さんがハーバードの課外活動としてプロデュースした、オペラのリハーサル風景
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多忙なハーバードの学生たち。その理由は濃密な授業と膨大な量の課題、人脈を作るための社交、そしてもうひとつ、プロ顔負けの取り組み方をする課外活動にある。廣津留さんは課外活動でオペラのプロデュースを行った。
「ハーバードの学生は、とにかく課外活動の本気ぶりがハンパじゃないんです(笑)。1人で複数の団体に所属していることも珍しくなく、例えば私は米国最古の学生オーケストラや、日本文化を紹介する団体など4つの団体に所属していました。なかでも印象深いのは3年次からオペラのプロデューサーを務めたこと。オリエンテーションのときに仲良くなった友達がミュージカルやオペラをやっていたので参加しました。最初はオーケストラピットに入って演奏していましたが、そのうち作り手側のほうが楽しそうだと思ってプロデュースに回ったんです。大学内には名プロデューサーとか名ディレクターと呼ばれている人もいました。
オペラの制作にあたり、ステージディレクターやセットデザイン担当、コスチューム担当といったスタッフもすべてハーバードの学生から集めます。制作チームが決まったら、次にどのようなコンセプトのプロダクションを行うか決めて、企画書を大学に提出します。劇場は学校の施設を無料で借りられますが、練習や公演などを含めて会場を約2カ月間押さえるためにはしっかりとした企画書を作って応募し、許可される必要があります」