日本に75校存在する女子大学は、男女平等をめざす時代の流れに逆行するかに見える。その「草分け」の大学はどう考えるか。『大学ランキング2023』(朝日新聞出版)では、学長に率直な問いを投げた。
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男女格差の是正のため、さまざまな組織で性別の偏りをなくす動きが進んでいる。その中で、学生が女性のみの女子大学が果たす役割とは何だろうか。
「日本のジェンダーギャップ指数は156カ国中120位(「ジェンダーギャップ指数2021」)と低迷しており、国会中継を見ても登場するのは男性ばかり。少女たちはその光景を当たり前に感じ、社会の主役は男性だと思い込みがちです」
こう話すのは、津田塾大の高橋裕子学長だ。日本には女性の社会進出の遅れという問題があるからこそ、女子大学が必要なのだと力強く語る。
「女子大学に入ると、主役は常に自分たち。教職員全員が時間とエネルギーをかけてサポートしますから、彼女たちは自分がセンターに置かれる価値ある存在なのだということを体感します。selfesteem(自尊感情)を高め、将来の方向を見定める。そのための4年間を提供するのは、女子大学の重要な役割だと考えています」
どのようなときに女子学生は自らの価値を体感するのだろうか。高橋学長が例に挙げたのが、学内イベントの運営だ。
「授業やサークルでの発表はもちろん、大学祭やオープンキャンパスといったイベントの企画立案やスポンサー探し、会場設営や看板持ちといった力仕事まで、どんなことでも女子学生が中心。これが共学の場合だと、自然と男性に依存してしまう部分も出てくるでしょう。あらゆる場面で主役として扱われる経験は、自分には多大な価値や可能性があるのだという気づきをもたらしてくれます」
さらに女子大学の強みとして、多様なロールモデルと出会えることを挙げる。
「独身でキャリアを展開する人、大学教員になりたてでありながら子育ても両立させる人……多様なライフスタイルで活躍する女性と出会えるのは、大変大きな魅力です」