津田塾大学学長・高橋裕子。専門は日米のジェンダー史。津田塾大学芸学部英文学科卒業。カンザス大大学院修了後、桜美林大国際学部講師、津田塾大学芸学部英文学科助教授などを経て、04 年同教授、16 年から学長(写真/本人提供)
津田塾大学学長・高橋裕子。専門は日米のジェンダー史。津田塾大学芸学部英文学科卒業。カンザス大大学院修了後、桜美林大国際学部講師、津田塾大学芸学部英文学科助教授などを経て、04 年同教授、16 年から学長(写真/本人提供)

 学部の4年間を津田塾大で、それ以外は共学校で過ごした高橋学長自身も、その魅力を実感したという。

「大学院では、履修した授業のほぼすべてが男性の先生でした。それほどまでに女性の先生は少なかったのです。それに対して学部時代に受けた授業は、7割程度が女性の先生だったと思います。女子大学は女性教員の割合が高いのです。先生によっては、自身のキャリアと私的な生活のバランスのとり方について、女子学生とシェアすることも多いかと思います。そうした語り合いができる環境があるのも女子大学の魅力だと思います」

■「自分の人生をリードすること」現代に必要な女子大学での教え

 高橋学長は、卒業後もその特別な環境での経験が自分を支えていた、と語る。

「私が大学を卒業したのは1980年。女性は就職しても男性の補助的な仕事しか任されず、20代後半で結婚するという風潮が強い時代でした。それでも周りに流されずに自分の決めた道を貫いてこられたのは、学問への熱意とやりがいのある仕事を持ち、自分らしく輝く女性の先生方に出会えたからだと思います」

 大学卒業後、日本とアメリカで合計9年間の大学院生活を送り、32歳で大学講師に。35歳で出産した後は育児や親の介護で多忙な日々を送りながらも学問への熱意を絶やさず、研究者としてのキャリアを築いてきた。

「学生時代、子どもを育てながら研究している先生を間近で見てきましたし、自分が研究者になってからも、そのような働き方をしている同僚の先生を見てきました。今の学生たちにとっても、本学の教員や卒業生の姿は、将来を思い描く上で励みになっていることでしょう。ここで過ごした4年間は、女性だからと控えめになることなく生き抜く活力になっていると実感しています」

 津田塾大には、多様な分野で学び続け、自身の道を見つける卒業生も多い。

「大学院進学や留学を経て研究者になる人、医師や弁護士になった人、農業で起業した人もいます。慶應義塾大理工学部教授で日本航空宇宙学会会長も務める松尾亜紀子さんのように、理系分野の最前線で活躍する人もいます。在学中には、学びの楽しさを発見し、自分の可能性をどんどん広げてほしいと思っています」

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