庵野秀明が企画・脚本、樋口真嗣が監督を務めた映画「シン・ウルトラマン」5月13日から公開される。初代シリーズが内包するテーマを現代に蘇らせたと円谷プロ・塚越会長は分析する。AERA 2022年5月16日号から。
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1966年に誕生してから、国内外で愛されてきた。そのウルトラマンを現代にリブートし、企画・脚本を庵野秀明が、監督を樋口真嗣が務めた映画「シン・ウルトラマン」がいよいよ公開される。
今回のウルトラマンの造形は、庵野氏の「ウルトラマンをデザインした成田亨さんの描いた、真実と正義と美の化身をデザインコンセプトにしたい」という想いを元に生まれたという。円谷プロダクション・塚越隆行会長は、「ウルトラマンのデザインはさまざまな要素を削ぎ落とした非常にシンプルなもの。本質に近いものをビジュアル化していて、アイコンとして優れている」と話す。
本誌表紙フォトグラファー、蜷川実花が写し出すウルトラマンは、静謐な美しさがあり、魂の宿る生命体に見えてくる。
「『ウルトラマン』の物語は、人間を愛し、『人間とは何なのか?』を知ろうとした宇宙人を取り巻く人間ドラマからスタートしたと解釈しています。誕生してから56年の間にシフトチェンジもありましたが、庵野さんはその本質を見抜き、『シン・ウルトラマン』でその初期のウルトラマンが内包するテーマを蘇らせたのだと私は思っています」(塚越会長)
子どもたちに夢を与えるエンターテインメントとして輝きを放つ一方で、その時代ごとに問題提起も行ってきた。
「災害が起きた時、人間はどんなアクションを取るべきなのか。『どんなことが起きようと希望を持って未来に向かうことができるんだ』というポジティブさが、『ウルトラマン』シリーズにはあります」
そう塚越会長は力強く話す。
ウルトラマンの物語は、“人間賛歌”でもある。唯一無二のキャラクターは、今回はどんな未来を見せてくれるのだろうか。(ライター・小松香里)
※AERA 2022年5月16日号