在宅勤務が広がり、家事や育児との両立がしやすくなった面もあるが、定時以降もメールに即レスなど延々と仕事をしてしまう人も少なくない(撮影/写真映像部・馬場岳人)
在宅勤務が広がり、家事や育児との両立がしやすくなった面もあるが、定時以降もメールに即レスなど延々と仕事をしてしまう人も少なくない(撮影/写真映像部・馬場岳人)

■自動応答の設定も有効

“働いてますアピール”をするような時代ではなく、互いに配慮しあうことが大切だと思うようになり、最近は「忘れないように」という理由で時間問わずにメールを送ることをやめた。メールやビジネスチャット「Slack(スラック)」の送信予約機能も使っているという。

 働き方評論家で千葉商科大准教授の常見陽平さんはこう話す。

「24時間いつでも連絡がつく状態は良くないとは思うが、悩ましいのは、完全に『悪』だとも言い切れないこと。隙間時間で仕事の下準備ができたり、即レスすることで、相手が次の仕事に進むことができたりといったメリットも大きい。だからこそ、個人と管理職によるマネジメントがとても大切になってくる」

 常見さんは、「つながらない宣言」を提唱し、私生活の時間を明確に確保するために、普段から自分の予定を周囲に伝えておくことや、「休暇をいただいております」「いま電話に出られません」などといった自動応答の設定が有効だとする。

 インターネット環境から意識的に離れる時間をつくることも、休むことにつながる。

「僕は、ニュースやトレンドは新聞や雑誌など紙媒体から得るようにしている。意識的にウェブメディアから離れる習慣をつくっている」(常見さん)

 コロナによるテレワークや、SNSの広がりによる常時接続社会がもたらしているエンドレスワーク。常見さんは、

「自分自身や周囲は長時間労働になっていないか、誰かにしわ寄せがいっていないか。思いやりを忘れず、自分の感覚は『普通』なのかを疑い続けることが大切です」

(編集部・古田真梨子)

AERA 2022年5月16日号より抜粋

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