一方でプロ入り後に苦しんだのが2007年の大学生投手ビッグ3、2010年の早稲田大3人衆、2016年の高校生投手ビッグ4が挙げられる。この合計10人の投手の中で二桁勝利をマークした投手は1人もおらず、既にユニフォームを脱いでいる選手も多い。今井が昨年初めて規定投球回に到達したが、今年も出遅れるなどまだまだ完全な主力とはいえない状況だ。

 そして今後という意味で楽しみなのがやはり2019年の高校生投手ビッグ4である。ドラフト前には及川が評価を下げて3位指名となったが、プロでは早くからリリーフで一軍に定着。トップランナーの佐々木は今や難攻不落の存在となり、西にも開花の兆しが見られる。現在は故障で離脱している奥川も実力的にはエースとなる可能性は高い。4人揃ってエースクラスとなることも十分に期待できるだろう。

 実力的に本当に横並びかどうかは議論されることもあるが、このように並び称されることが刺激となり、切磋琢磨してレベルアップするケースも確かにあるはずだ。今後も新たな「ビッグ〇」がドラフト戦線、そしてプロ野球を賑わせてくれることを期待したい。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

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