22年入試で、志願者数の増減が著しかった大学を見ていきたい。岡山大(前期日程)の志願者数は、前年比150%。21年入試では1次(共通テスト)が計900点、2次(個別試験)が計1200点だったが、22年入試は1次計500点、2次計1100点と、個別試験重視の配点に切り替えた。共通テストが難化し、思うように得点できなかった受験生が2次で挽回を狙い受験するケースが多かったようだ。
やはり共通テスト難化の影響がみられるのが、志願者数が前年比43%となった名古屋大(前期日程)。22年から共通テストの成績を用いた「2段階選抜」を導入し、共通テストの成績が900点満点中700点以上でなければ2次試験の受験資格が得られなくなった。このため、共通テストで思うような点数が取れなかった層が受験を回避した影響があると思われる。
私大の中で大規模な入試制度変更を行ったのが日本大だ。21年まで実施していた医学部単独の入試(A個別方式)を廃止、22年からN全学統一方式に一本化し、第一期と第二期の2回に分けて試験を実施した。2月実施の入試では、トータルで昨年より志願者は減少したが、3月実施の第二期では1千人を超える志願者を集めた。これに伴い、他大学の3月入試では志願者の減少が目立った。
データから読み取れるもう一つの傾向は、以前より医学部に入りやすくなったということだ。
偏差値65の場合、近年最も倍率が高かった14年の合格率は35%だったが、22年には60%となった。つまり、偏差値65で医学部に合格できるのは14年は3人に1人だったが、今は3人に2人程度にまで増えたことになる。
「一定の学力は必要なので誰しもに門戸が開かれているわけではないですが、以前より合格しやすい時代になったことは確か。努力が報われやすくなっているので、志望者には夢を簡単に諦めないでもらいたいです」(同)
(本誌・松岡瑛理)
※週刊朝日 2022年6月3日号