一転して、与死球にも目を向けてみよう。史上1位は東尾修(西武)の165与死球。内角シュートと外角スライダーのコンビネーションの投球術を展開した。セ・リーグ1位は平松政次(大洋)の120与死球。伝家の宝刀「かみそりシュート」は、文字通り右打者の内角に鋭く切れ込んでいく。長嶋茂雄(巨人)が最も苦手にしていた投手としても有名だ。

 与死球上位10人には、渡辺秀武(巨人ほか)、坂井勝二(ロッテほか)、仁科時成(ロッテ)、山田久志(阪急)、足立光宏(阪急)、佐々木宏一郎(大洋ほか)と、アンダースローやサイドスロー6人が名を連ねる。普通に投げていても、投球がシュート回転するので死球は多くなる。渡辺は82年に日本最多通算与死球のタイ記録を持っていて、あと1死球で新記録を樹立できた。そのため、自らの引退試合で故意に緩い球を相手打者にぶつけ、単独日本最多与死球投手として引退した。(新條雅紀)