Bruno Pavlovsky/2004年からファッション部門プレジデントを務める。18年からシャネルSASプレジデントを兼任(写真:CHANEL提供)
Bruno Pavlovsky/2004年からファッション部門プレジデントを務める。18年からシャネルSASプレジデントを兼任(写真:CHANEL提供)
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「ガブリエル・シャネル展」が18日、三菱一号館美術館(東京)で始まる。彼女の仕事に焦点を当てた国際巡回展からはブランドの原点が見えてくる。AERA 2022年6月20日号より紹介する。

【写真】モナコで開催された、シャネルの2022/23年クルーズ・コレクション

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 50年以上も前に誕生したとはにわかに信じがたい、繊細かつエレガントなデザイン。“20世紀で最も影響力の大きい女性デザイナー”と称されるガブリエル・シャネルの回顧展には、現代でも色あせない魅力を放つアイテムが一堂に会する。ガブリエルの仕事にフォーカスを当てる回顧展が日本で開催されるのは、実に32年ぶりのことだ。

「ガブリエル・シャネル展 Manifeste de mode(ファッションへの宣言)」を企画・監修したのは、フランスのガリエラ宮パリ市立モード美術館。グローバル企業である「シャネル」が自身のブランドについて回顧するのではなく、ファッションの目利きである第三者の視点で構成される。

■DNAが示されている

 シャネルのグローバルファッション部門プレジデントのブルーノ・パブロフスキー氏は言う。

「ガブリエル・シャネルがファッションの歴史にどれだけ貢献したのか、ブランドの初期はどのようなものだったのか。歴史的、科学的にアプローチしながら、ブランドの黎明(れいめい)期を皆さんにお伝えできるのは、有意義なことだと思っています。我々にとっても、ブランドのルーツに立ち返る、とても良い機会となりました」

 シャネルを代表するツイード素材のスーツ、イヴニング・ドレスやカクテル・ドレス……。何度となく目にしてきたパブロフスキー氏にとっても、新鮮な驚きに満ちていたという。

「改めてディテールに目を向けると、非常に洗練されていると感じました。シャネルのDNAがまさにこの展覧会で示されていると思いますし、いかにガブリエル・シャネルが時代を先取りしていたのか、世界をインスパイアしていたのかを強く感じられる展覧会になっていると思います」

 シャネルは展覧会を特別協賛している。パブロフスキー氏自身も、すでに展覧会が開催されたパリやメルボルンの会場に足を運んだが、ガブリエルがファッションの歴史にどれだけインパクトを与えたのかを目の当たりにし驚いている来場者の姿を見て、感銘を受けたという。

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