■じゃがいもが優秀選手
バーリーマックスやオールブランもいいが、普段からなじみのある食材でも簡単に食物繊維を補いたい。文部科学省の食品成分データベースで検索してみると、いずれも100グラム中の含有量で統一されていた。たとえば「きくらげ」の含有量の高さが目立つものの、乾物状態の100グラムを水などで戻すと約10倍の1キロ。毎日そんなに食べられない。そこで管理栄養士の加藤彩子さんに「1回で食べられる量で算出した食物繊維ランキング」を作ってもらった。日頃おなじみの食材を選び、1食あたりの食物繊維が多い順に並べてある。
糖質の多いパスタやそば、うどん、米類は一通りランクイン。むやみにこれらを制限すると便秘になるのは当然だった。
1位のじゃがいもが意外。糖質もそれほど高くなく、食物繊維の量が多い。とはいえ糖質を気にする人もいるだろうから、この表では糖質控えめのおすすめ食材にマークをつけた。
「レタス○個分の食物繊維」といった表現をよく目にするので参考までにレタス半玉分の含有量も表中に加えている。
■水溶性と不溶性は古い
「じゃがいも1個を食べるだけで、レタス3個分の食物繊維をとれます。食物繊維は『不溶性』と『水溶性』に大別され、特に後者は排便を促すと言われてきましたが、一概にそうとはいえないことがわかりました。文科省は『日本食品標準成分表2020年版(八訂)』から両者の分類を廃止しています」
そもそも糖質制限ダイエットは米国で流行したもので、日本人の体質や食生活に適しているとは限らない。そして巷の糖質オフ商品には、糖質オフでもおいしくするため脂質や人工甘味料を添加するなどの罠……いや“仕掛け”がつきもの。体に好ましいものばかりではない。
結局、大切なのは栄養バランスの取れた食事。魚や鶏肉を主菜に、砂糖を入れすぎない煮物や青菜の副菜、適量のごはんと運動──一周回って、おもしろくない結論にたどりついた。
(ジャーナリスト・大西洋平、編集部・中島晶子)
※AERA 2022年6月20日号