巨人の中田翔に関して、ちょっとした騒動が起こっている。オールスターゲーム(以下、球宴)のファン投票、セ・リーグの一塁手部門で最多得票を得ているからだ(6月22日発表時点)。球界きっての知名度を誇る選手であるため票が集まりやすいのは当然かもしれない。しかし今季はここまで打率がギリギリ2割台で、一軍と二軍を行ったり来たりの状態が続いている。とてもじゃないが、活躍しているとは言い難い。
中田の他に一塁手部門で名を連ねているのが、マクブルーム(広島)、ビシエド(中日)、ソト(DeNA)、オスナ(ヤクルト)らの助っ人。どの選手も大活躍とは言えないが、それでも2位につけているマクブルームを含め、中田よりも成績は上だ。投票は今月27日に受付が締め切りとなるが、仮に1位となっても中田は7月のオールスター開催時に二軍でプレーしている可能性すらある。
かつても球宴のファン投票では成績を度外視した投票行動が問題となった。有名なのが2003年の川崎憲次郎の一件だ。川崎は2000年オフにヤクルトから中日にFAで移籍するも故障のため中日入団後は1度も一軍での登板がなかった。だが、ファン投票で「川崎を選出しよう」という“嫌がらせ”のような呼びかけが広まり、最多得票を獲得する事態となった(川崎は出場を辞退)。
「(川崎の騒動は)悪ふざけ、イジメとも言え、翌年からファン投票選出の基準に出場成績が設けられるようになった。しかし抑止力になっていないから、同じようなことが起こる。タチが悪いのは『純粋に中田を見たいから投票した』と言われてしまえば否定できない。加えて当時より飛躍的にネットが普及していて投票しやすくなった。今後も同様のことは起こるはず」(在京テレビ局スポーツ担当者)
川崎の騒動の結果、ファン投票で対象となる選手の基準が設けられ、野手は「10試合以上出場または20打席以上」というものとなった。ハードルの低さは明白で一軍である程度プレーしていれば誰でも満たせる。中田もこの基準はクリアしているものの、今の成績では真剣にファンが投票しているとは考えにくい部分もある。