巨人ファンの中でも(昨シーズン途中の)中田獲得には賛否両論があった。巨人ファンでも中田に投票している人は多くないはず。そうなると、ただ選ばれることを面白いと考えるファンが動いている可能性もある」(在京テレビ局スポーツ担当者)

 ツイッター上には「#中田翔をオールスターへ」というハッシュタグもあり、川崎のケースと同じようにネットで投票を呼びかける動きは今回も存在する。そこには中田を純粋に応援したいという気持ちもあるのだろうが、一方でそれに対して疑問の声を上げているファンも少なくない。

 しかし、野球の本場メジャーリーグではこういったことが起きるのは稀。米国では球宴は毎年1試合しか開催されず、ファンも結果を残した“選ばれしプレイヤー”のみが出場できる非常に格式が高いものだと認識して投票しているからだ。

「米国ではこのような行為はほとんど起こらない。スポーツ本来の意義、魅力を考えれば考えられないこと。NPBとしても現在は性善説に基づいて資格やルールを作るしかないのだろう。今後も似たようなことが頻繁に起こるとなれば厳格な基準を設けるしかなくなる。例えば、選挙同様に1人1票の投票権を与えるなどです。スポーツやエンタメの根幹に関わる問題でもある」(在米スポーツライター)

 日本のプロ野球では以前から球宴の意義が“薄れている”と議論されてきた。ファンのこういった行動が起きる一つの要因となっているのは間違いないだろう。

「選手側には以前のような真剣味は薄れている。テレビ中継の少ない時代はパ・リーグの選手などが自らを売り込むために必死だった。しかし、今ではCS、ネット中継などを含め全球団の試合が手軽に見られる時代になった。そもそも、タイトな日程内で開催される球宴で怪我などしたら話にならない。一生懸命にやる必然性がない。少しでも調子が悪い選手には球宴出場辞退を勧める球団すらあるという」(在京球団編成担当)

 NPBは球宴、日本シリーズなどが数少ない収益源でどうしても話題になることを望む。そうすることで観客も増え、視聴率も上がりスポンサーも集まる。“人気先行”となりがちな現行のファン投票のルールもある程度は許容し、スター選手が多く出場することが重要になってくる。一方で球団側にとって大事なのは公式戦。優勝争いをする中で自軍の選手が活躍することで観客動員やグッズ売り上げなどが増える。両者にとって思惑が違うことも、球宴がいまいち盛り上がらず、ファンもついてこない一つの要因となっている。

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球宴にファンが求めてるものは?