■クロホエザルの母子
「左の細い枝の木で実を食べていたのですが、満足したのか、隣の木の幹に飛び移った。お母さんが元の枝をしっかりしっぽでつかんだその上を、子どもが伝って渡った一瞬です。クロホエザルは、メスだけが子育てをします。ちなみにオスは名前のとおり、全身真っ黒なんですよ」(岩合さん)
■カピバラを撮る岩合さん
「この距離まで近づけるのは、パンタナールだけ。繊細で臆病なカピバラは、普通はすぐにさっと逃げてしまいます。この土地で天敵のジャガーから身を守るには、ヒトの近くがいちばん安全だということを学習したんだと思います」(岩合さん)。おっとりしたカピバラが川面を飛ぶように逃げる姿など、意外な生態を楽しめる写真も
Mitsuaki Iwago 1950年、東京都生まれ。日本を代表する動物写真家。80年、「アサヒグラフ」での連載「海からの手紙」で木村伊兵衛写真賞を受賞。米「ナショナル ジオグラフィック」誌の表紙を、日本人として唯一、2度飾っている。2012年、NHK BSプレミアムで「岩合光昭の世界ネコ歩き」のオンエア開始。写真集『パンタナール』ほか著書多数。「週刊朝日」巻末グラビアでフォトエッセー「今週の猫」連載中
【岩合光昭 写真展 PANTANAL】
パンタナール 清流がつむぐ動物たちの大湿原
東京都写真美術館(東京都目黒区、恵比寿ガーデンプレイス内)で
7月10日まで開催中
6月25日、岩合光昭スペシャルトークおよびサイン会開催予定
(取材・文=伏見美雪[本誌])
※週刊朝日 2022年7月1日号に加筆