■ミナミコアリクイ

ミナミコアリクイ(写真:岩合光昭)
ミナミコアリクイ(写真:岩合光昭)

「食事を終えて枝から降りた瞬間です。パンタナールでは、川が氾濫しているときにうっかり落ちて流されてしまうと非常に危険なので、動物たちは習性として、どこかにつかまっていることが多い。このコアリクイも、地面に降り立つ最後の瞬間まで、しっぽでしっかり枝をつかんでいました」(岩合さん)。この、お腹が丸見えのユニークな姿のほか、威嚇するために自分の体を大きく見せようと立ち上がって両腕を広げた様子や、木の幹に隠れているアリを夢中で食べる写真も見られる

■アメリカバクのカップル

アメリカバク(写真:岩合光昭)
アメリカバク(写真:岩合光昭)

「子馬くらいのサイズの、大きなバクなんですよ。とてもシャイで、敏感な動物なので、ヒトが動いていると、その前には絶対出てこない。このときは、川の対岸でボートのエンジンを切って、じっと待って、やっと出てきた!と思ったら、カピバラだったりして(笑)。でもカピバラよりも大きな影が見えたので絶対にいる、と信じて待ち続けていたら、オスとメスのカップルが姿を見せてくれました。2頭はこのあと、川の中に入っていきました。南アメリカの動物って、哺乳動物もみんな泳げるんです。この川もたびたび氾濫するので、泳げないと生き残れないんですね。パンタナールは、だからこそ開発を免れた、貴重な生物の宝庫です」(岩合さん)

■固有種のスミレコンゴウインコ

スミレコンゴウインコ(写真:岩合光昭)
スミレコンゴウインコ(写真:岩合光昭)

「絶滅危惧種だと知っていたので、こんなに近くで見られるんだ!と感動しました。その名の通り、すみれ色の、ものすごく美しい鳥なんです。この3羽の体長は40cmくらいでしょうか。彼らのくちばしは、刃物と同じように鋭く、強力。アクリヤシの実をついばんでいるのですが、食べるのは、この緑の殻のなかに入っている小さな茶色い実。かなり殻が硬いので、真ん中にいる子のように、足でつかんで、器用にくるくるとまわしながらくちばしで割る様子がかわいいんですよ」と岩合さん。青空を背に舞う姿をとらえた写真も美しい 

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