一方、兄は姉と同じように尊敬の対象ではありましたが、ひそかにライバル視する対象でもありました。小さい頃、私は兄から「たかちゃん」と呼ばれていました。貴博なので「たかちゃん」です。

 ところが「たかちゃん」は、ときどき「あかちゃん」に聞こえました。兄は、可愛さの余り9歳年下の弟を「あかちゃん」と呼ぶことがあったのです。

 兄にしてみれば親しみの表現なのでしょうが、私には不満でした。そうやって子ども扱いされた経験の1つひとつが、年上への対抗心を養いました。

「年上の人に勝ちたい」という思いは、いまでも心のなかに熾火(おきび)のように残っています。

 新聞の取材などで、「同世代のアナウンサーのライバルは?」と問われることがありますが、あまりピンときません。同世代のアナウンサーにも優秀な人はたくさんいますが、どうやら私は、幼少期の体験から同世代の人をライバル視する視点を持ち合わせていないようなのです。

 2007年にTBSに入社したときも、強烈に意識したのは兄と同世代で10年先輩の安住紳一郎さんでした。私のなかで、安住さんは尊敬する大先輩であると同時に、「戦って勝ちたい相手」でもあります。生意気な後輩ですみません!

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