これまでも、彼女の帰りが遅い日は夕飯を作ってくれていました。でも、「ありがとう」と言っても「うん」としか返事がなく、なぜか怒られているような気分になってたんです。以前の彼女は「できない=自分には価値がない」という思い込みが強く、周りに頼ることがきずにいました。「夫は料理をするのは女だと思っているのに、仕方なくやっているんだ」と思い込んで、罪悪感を感じていたのです。

 それが今は、人を頼れない自分は相手を信じていなかったのかも……と思うようになり、感謝して家族に任せるようにしたら信頼関係が生まれた、と言います。子どもたちも、火を使う、サラダを作るなどの担当に分かれて、ママがいなくても家族が補い合いながら料理をするようになりました。

「もっと自分を大事にして、人に頼っていいんだ、と気づいたんです」と彼女は言います。

 好きでやっていたPTA会長の仕事も一人で抱えがちでしたが、人を頼ることを意識したら、できる人ができるときに関わるかたちで回せるようになったとか。スケジュールには必ず空白を入れて、大好きな子どもとの時間を確保するのが習慣になりました。

「70%収納」を目指して中身を整理。余裕ある状態をキープできています/After
「70%収納」を目指して中身を整理。余裕ある状態をキープできています/After

 人間関係が悩みだったメインの職場は、もめごとや家庭のことが重なり退職しました。すると2カ月もしないうちに、以前働いていた保険関係の職場から戻ってこないかと連絡があり、希望通りの部署で働けることになりました。仕事は一つにして、今はすべての人間関係において気持ちよく過ごせていると言います。

 手狭に感じ、引っ越しを考えていた家について聞くと、「家族と顔を合わさずには過ごせない今の家もいいかなって、思えるようになったんです」。

 彼女の笑顔は明るく、周りをハッピーにするパワーにあふれていました。

◯西崎彩智(にしざき・さち)/1967年生まれ。お片づけ習慣化コンサルタント、Homeport 代表取締役。片づけ・自分の人生・夫婦間のコミュニケーションを軸に、ママたちが自分らしくご機嫌な毎日を送るための「家庭力アッププロジェクト®」や、子どもたちが片づけを通して”生きる力”を養える「親子deお片づけ」を主宰。ラジオ大阪「西崎彩智の家庭力アッププロジェクト」(第1・3土曜日夕方)が2021年5月1日からスタート。フジテレビ「ノンストップ」などのメディアにも出演

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西崎彩智

西崎彩智

西崎彩智(にしざき・さち)/1967年生まれ。お片づけ習慣化コンサルタント、Homeport 代表取締役。片づけ・自分の人生・家族間コミュニケーションを軸に、ママたちが自分らしくご機嫌な毎日を送るための「家庭力アッププロジェクト?」や、子どもたちが片づけを通して”生きる力”を養える「親子deお片づけ」を主宰。NHKカルチャー講師。「片づけを教育に」と学校、塾等で講演・授業を展開中。テレビ、ラジオ出演ほか、メディア掲載多数。

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