写真提供/竹中工務店
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 大型建築は1900年ごろから、コンクリートや鉄で建てられるようになり、それが当然だった。最近は木造でも建てられるようになっている。

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 昨夏の東京五輪・パラリンピックでは、主会場の国立競技場は、外周が木製軒ひさしなど、木のぬくもりを感じさせた。

 昨年10月には東京・銀座8丁目に、日本初の耐火木造12階建ての商業施設「ヒューリック・アンニュー・ギンザ・エイト」が竣工した。耐火集成材の柱や梁などを用いた木造と鉄骨造のハイブリッド。使用木材は約300立方メートルで、約9割が構造部分。高さ約60メートルと、国内最大高の木造建築で京都にある東寺塔(五重塔の約55メートル)を超える。

 今春には大林組が横浜市に11階建ての次世代型の研修施設を純木造で完成させた。純木造耐火建築物としては国内最大高の44メートルだ。

 さらに、三井不動産と竹中工務店は、東京・日本橋で国内最高層の木造賃貸オフィスビル計画を進めている。17階建てで高さ約70メートル、構造材に使用する木材量は国内最大規模の1千立方メートル超の見込み。2023年に着工し、25年の竣工を目指す。

 木造の大型建築が相次いで出てきた背景に、何があるのだろうか。

 国は公共建築物の木造化を推進し、10年に公共建築物等木材利用促進法を施行。昨年は同法を一部改正し、森林資源の循環的利用で新陳代謝を進めようとしている。

 公共建築物では、柱や壁、梁など主要構造部に木材を使った“木造率”が高まっている。林野庁の公表資料によると、低層も含めた公共建築物の木造率は20年度着工分で43.5%となった。

 木造の防耐火や部材の開発、建築基準法の緩和も背景にあると、林野庁で木造建築物促進にたずさわる担当者は指摘する。

 防耐火規制をめぐり、建築基準法が00年に「性能規定」になったことが大きかったと、竹中工務店で木造・木質建築を統括する松崎裕之参与は言う。性能規定とは、必要な性能を満たせば、方法は原則自由。技術開発を促進したとされる。

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