いつ、どこで大地震は起きるのか──。今後30年以内に震度6弱以上の地震に襲われる確率が、公開された「全国地震動予測地図2020年版」から見えてくる。自分の住む地域の将来の「確率」と、これまで揺れた「回数」からリスクを把握し、いつか来る大地震に備える必要がある。AERA 2021年6月7日号は「災害」特集。今後30年間の大地震の確率は水戸81%、札幌2.2%だったが、東京や西日本はどうか――。
【表の続き】全国の大地震「発生確率」と過去5年半で「揺れた回数」が多いのはここだ!
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切迫度が高いのが、今後30年以内に70%の確率で起きるという首都直下地震だ。最悪のケースで死者2万3千人、全壊または焼失する建物は61万棟に上るとされる。東京(新宿区)の今後30年間で震度6弱以上の揺れに見舞われる確率は「47%」で、前回18年の「48%」から高い確率を継続している。
地震のメカニズムに詳しい東京大学地震研究所の古村(ふるむら)孝志教授(地震学)は、東京の高い揺れの確率には、「相模トラフ沿いの地震」の影響が大きいと指摘する。相模トラフ沿いは、フィリピン海プレートが北米プレートの下に沈み込む場所で、1923(大正12)年に起きたM7.9と推定される関東地震(関東大震災)の震源域とされる。
「相模トラフを震源としたM8クラスの地震は200年から400年に1度の頻度で起きています。しかし、前回の関東地震から100年もたっていないので、M8クラスの地震はまだ起きないというのが一般的な考え。ただ、一回り小さいM7クラスの大地震はずっと高い頻度で起きるのでそちらが心配されます」
低い日本海側にも懸念
それでは西日本はどうなのか。見ると、太平洋側において過去5年半で揺れた回数がそれほど多くなくても、30年以内の発生確率が高くなっているところが目立つ。徳島市は75%、静岡市は70%、和歌山市は68%、高松市は64%、津市は64%……と軒並み50%を超えている。
古村教授は、これらは南海トラフ沿いの地震の影響だと言う。
南海トラフ沿いではフィリピン海プレートがユーラシアプレートの下に潜り込み巨大地震が起きる。ここを震源に、今後30年以内にM8~9クラスの地震が70~80%の確率で発生するとされている。
南海トラフ沿いを震源とした地震は、100年から200年に1度の割合でM8クラスの地震が起き、最大でM9クラスの発生が心配されている。最後に南海トラフを震源にした地震が起きたのが1944年と46年の2度。それから75年近く経っているので、いつ次の地震が起きてもおかしくないという。