
平田委員長は、まずは耐震化されていない住宅の耐震補強を行った上で、「自助・共助・公助」の3要素が重要と語る。震度6弱の揺れで、耐震性の低い木造住宅は倒壊する恐れがある。だが、「震度6強~7の地震でも倒壊・崩壊しない」という建築基準法の「新耐震基準」を満たした住宅の耐震化率は約87%にとどまる。
「耐震化をしていれば、地震が起きても自宅に避難して大丈夫。ただ停電や断水に備え、懐中電灯やラジオ、飲料水などを備蓄することが大切。自分の命は自分で守る『自助』です」
避難所に避難した場合は、お互い助け合う必要がある。そこでは「自助」と「共助」が求められる。日ごろからの近所付き合いが大切になる。
国や自治体の公助活用
自助、共助で対応できないところは行政機関が実施する「公助」の出番。自然災害のハザード(災害誘因)の住民への周知や、被害が出た後の震災復興計画の策定などが重要になる。

全国地震動予測地図2020年版はネットでも公開され、「地震ハザードステーション(J‐SHIS)」では地図から場所を検索して地震発生の確率と、場所ごとの地盤の軟らかさを考慮した一定の強さ(例えば、震度6弱)以上の揺れになる確率を調べられる。
「自宅や学校、職場などの場所を調べ、家具の固定などの対策を進めてほしい。確率が低くても安心するのでなく、一人ひとりが自分にできることから実行してほしい」(平田委員長)
大地震に見舞われる可能性がない地域はない──。「地震列島」に住む私たちは、改めて、肝に銘じなければいけない。(編集部・野村昌二)
※AERA 2021年6月7日号より抜粋