「しながわ」の中華そばは一杯850円。ツルツルの麺とスープの相性は抜群だ(筆者撮影)
「しながわ」の中華そばは一杯850円。ツルツルの麺とスープの相性は抜群だ(筆者撮影)
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 日本に数多くあるラーメン店の中でも、屈指の名店と呼ばれる店がある。そんな名店と、名店店主が愛する一杯を紹介する本連載。地元・秋田の食材でこだわりのラーメンを作る店主が愛するのは、外食チェーン「大戸屋」出身の店主が、人生の再出発を誓って生み出した、気合の一杯だった。

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■恩師の思いに心を打たれ、地元・秋田に凱旋オープン

 池袋駅から一駅の要町にある「中華そば しながわ」。2013年にラーメン店「BASSOドリルマン」のセカンドブランドとしてオープン。店主である品川隆一郎さん(41)の地元・秋田の醤油を生かしたあっさりとした醤油ラーメンが人気の名店だ。

見た目も美しい一杯。チャーシューは2種類のっている(筆者撮影)
見た目も美しい一杯。チャーシューは2種類のっている(筆者撮影)

「生産者の顔が見える食材を選びたい」という思いから品川さんは食材探しをスタート。秋田の醸造蔵「石孫本店」の醤油と出合う。少し塩味が強く、香りの深い味に惚れ込んだ品川さんは、醤油を主役にしたラーメンを仕上げていく。麺は自家製麺、野菜は自社の畑で作ったものを使っている。

 ある日、品川さんの中学時代の恩師が店を訪ねてきてくれた。出張で東京に来た際に、ラーメン本を見て食べに来てくれたのである。その出来事に強く感動した品川さんは、ある決心をする――地元・秋田で店を開こう。

「地元に店を作れば、友達や恩師などお世話になった人にラーメンをふるまうことができるなと思ったんです。秋田のラーメン店の方と知り合い、話を聞くたび、地元で店を開くイメージが湧いてきたんです」(品川さん)

「しながわ」店主の品川隆一郎さん。オールドスタイルが自分らしさだという(筆者撮影)
「しながわ」店主の品川隆一郎さん。オールドスタイルが自分らしさだという(筆者撮影)

 こうして18年1月、秋田県雄勝郡羽後町に「BASSOどりるまん商店 羽後町本店」がオープンした。品川さんの実家から歩いて10分。まさに地元に凱旋する形になった。品川さんは言う。

「これからも、自分らしくラーメンと向き合うことを大切にしていきたいです。ラーメン界の変化は意識せず、変わらないものを磨き続けたいんです」

 あっさりとしたオールドスタイルこそ、自分らしさだと気づいたのは最近のこと。時にはブレることもあったが、自分らしさは決して忘れなかった。失敗や反省も重ねながら行き着いたのが、品川さんの今のラーメンだ。東京で高い評価を得ながら、今日も地元秋田でお客さんの舌を喜ばせている。

中華そばしながわ/〒171-0021 東京都豊島区西池袋4-19-14/【月~木】7:00~9:00【金~日、祝】11:00~15:00、18:00~22:00/筆者撮影
中華そばしながわ/〒171-0021 東京都豊島区西池袋4-19-14/【月~木】7:00~9:00【金~日、祝】11:00~15:00、18:00~22:00/筆者撮影

 そんな品川さんの愛する一杯は、外食チェーン「大戸屋」出身の店主が「人生の再出発」を心に作るラーメンだった。

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2カ月で100軒食べ歩き