業績はV字回復した。12年に16億7千万円だった売り上げは14年に27億6千万円、そして19年7月期には54億円と急上昇。

 英語、スペイン語を操るオカダは、新日本プロレス海外戦略の「顔」でもある。15年から米国だけでなく英国、カナダ、オーストラリアなど海外試合が増えたが、どこも超満員という。試合のメインイベントには、オカダの試合が組まれている。オカダがニヤリとする。

「僕はどこへ行っても、カネの雨を降らせていますね」

 オカダはこれからプロレスラーとしての旬を迎える。技術の高さはもちろん、経験によってキャラクターが磨かれ、王者としての発信力も強まる。カネの雨の降雨量は世界各地で増えそうな気配だ。

(文中敬称略)
     
■おかだ・かずちか
1987年 愛知県安城市に生まれる。
 94年 安城市立祥南小学校入学。マラソンは常に1番。
 98年 10月、長崎県五島市の小学校に転校。ソフトボールを始める。
2000年 安城市立安祥中学校に入学。野球部等で活躍。3年時にクラス委員。
 03年 プロレスラーになるため、神戸にあった学校「闘龍門JAPAN」に入学。      10月、メキシコに渡りトレーニング。
 04年 メキシコでプロレスラーデビュー。
 07年 メキシコのプロレスの聖地「アレナ・メヒコ」で試合を踏んだことから、メキシコでやることはなくなったと新日本プロレスに入門。メキシコのキャリアを捨て研修生から出直す。
 10年 米国のプロレス団体「TNA」に無期限武者修行。
 12年 米国での武者修行を終え、新日本で正式デビュー。1月、IWGPへビー級王座の棚橋弘至に挑戦表明を行ったが、会場から「まだ早い」と大ブーイングを浴びる。だが2月、王座を奪う。8月、G1クライマックスで初優勝し、史上最年少優勝記録を樹立。プロレス大賞など5冠。
 13年 棚橋を破り、2度目のIWGPへビー級王者に。プロレス大賞を受賞。2年連続の受賞は25年ぶり。
 14年 長らく保持していたIWGP王座から転落。G1クライマックスで2度目の優勝。
 15年 IWGP王者の棚橋に挑戦するも失敗。花道で大粒の涙を流す。7月、王座を奪還。天龍源一郎の引退試合に指名され、勝利を収める。プロレス大賞受賞。
 16年 内藤哲也に王座を奪われるものの、2カ月後に奪い返す。
 17年 柴田勝頼と対戦、試合後、柴田が救急搬送。IWGP王座を8連続防衛。
 18年 防衛記録を12まで伸ばしたが、6月、ケニー・オメガに敗れる。この時点でベルト保持日数は720日となり、史上最長記録となる。
 19年 マディソン・スクエア・ガーデンで行われた対ジェイ・ホワイト戦で王座を奪還、5度目の戴冠。4月、声優の三森すずこと結婚。東京2020オリンピック聖火リレーの愛知県聖火ランナーに決定。

■吉井妙子
スポーツジャーナリスト。宮城県出身。朝日新聞社に13年勤務した後、1991年からフリーとして独立。著書に『松坂大輔の直球主義』『天才を作る親たちのルール』など多数。

AERA 2020年1月6日号

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