さらに、東工大の注目すべき点は、現在、リベラルアーツ教育(教養教育)とコミュニケーション力の強化に取り組んでいることだ。教養教育を専門的に担う「リベラルアーツ研究教育院」を設置し、ジャーナリストの池上彰氏を特命教授に招くなどしている。1年の前期にはディスカッションを行う授業の履修が必須で、異なる専攻の学生らと与えられた課題に関して意見を交わす。

 複雑化する企業の課題解決には、専門性に加え、広い視点が不可欠。成熟した社会で新しい価値を生み出すためには、コミュニケーションがより重要になってきている。それらは従来、理系の学生は苦手とされてきた。キャリアアドバイザーの守島利子特任教授はこう見る。

「以前は就職相談に来ても、もじもじして話せないような学生も珍しくなかったが、今では何をしたいのか、何に悩んでいるのかをしっかり伝えることができる学生が多くなってきた。今後、より納得のいく就職ができることを期待しています」

 商科系では一橋大や小樽商科大が上位に入った。

 東工大に次ぐ高い偏差値となった一橋大は商、経済、法、社会の4学部しかないが、“就職の一橋”とも言われるほど就職が強い。就職先は銀行・証券などの金融業を中心に、商社や製造業など多岐にわたる。

 強さの裏には同窓会組織「如水会」の存在がある。同会には3万6千人の会員がおり、学部生も入会すれば、会社名や連作先の情報が載ったOB・OG名簿を閲覧できる。学部生のおよそ7割が入会しており、卒業生の人脈を伝って就職活動を進める。

 もう一つ、ランキングを読み解く鍵は「少数精鋭」。地方の中、小規模の大学が上位に食い込んでいる理由の一つで、細やかな就職指導が実績に結びついている。

 中でも国際教養大の存在が際立つ。1学年175人程度で、秋田という立地ながら有名企業への就職率が高く、東工大、一橋大に次ぐ3番目。学内企業説明会には約200社が来るなど、企業が殺到している。

 同大では1年間の海外留学が必須だが、海外にいてもインターネット電話スカイプを使って、就職相談に乗る。大学職員と企業とのつながりも強い。キャリア開発センター長の三栗谷俊明さんはこう語る。

「社風、欲しい人材、選考プロセスを一社一社理解しています。学生一人ひとりに適した企業を紹介でき、的確にアドバイスできることが実績につながっている」

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