※写真はイメージです(GettyImages)
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 中学受験の本番まであと1、2カ月。ラストスパートで頑張るのは子供だけではない。サポートする親も大変だ。だが、教育ジャーナリストの中曽根陽子さんは「親の焦りや力みが子供のやる気を奪ってしまうこともある。また親子間、夫婦間の関係が悪化して家族がその後ギクシャクしてしまうケースもある」という――。

受験をきっかけに親子関係が悪化するケースも

 首都圏の中学受験者数は、8年連続で増加傾向が続いており23年度入学の試験も史上最高の受験者数になるのは間違いないといわれています。受験生にとっては例年以上に厳しい受験になりそうですが、最後に笑うか泣くか、合否を分けるのは何でしょうか。

 私はこれまで中学受験に関する書籍執筆のため、多くの受験生の子とその親を取材しました。私自身も、2人の子供が中学受験をしており、中学受験という世界に足を踏み入れて翻弄(ほんろう)される当事者の気持ちがよく分かります。学校の授業より難易度の高い勉強に取り組む子供はもちろん大変ですが、子に伴走する親も偏差値という数字と向き合い、子供がレースを完走できるよう環境を整える役割は責任重大です。

 目標に向かって努力する経験は、子供にも親にもまたとない成長のチャンスにもなります。

 しかし中には、受験をきっかけに親子関係が険悪化し、その後、ギクシャクが長く尾を引く例もありました。子供のために善かれと思って始めた受験で、結果的に子供の自己肯定感が下がったり、親子関係が悪くなったりするのは残念なことです。

 そこで、「幸せな受験」になるよう、受験世帯向けに応援記事を書いたり、模試会場で保護者向けに講演を行ったり、ポジティブ心理学をベースにしたコーチングセッションを開くようになりました。

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