ごまめは10歳で慢性腎臓病が発覚。経口治療で体重を戻し中
ごまめは10歳で慢性腎臓病が発覚。経口治療で体重を戻し中

 症状はステージに応じて初期、中期、後期、末期に分けられる。治療の基本は食事療法と薬物治療、水分補給だ。

「最も重要なのが食事です。療法食によるリンとたんぱく質の制御が必要になります。以前は慢性腎臓病になったら、療法食を始めるのがスタンダードだったのですが、最近では初期はそれほど制限しなくてもよく、中期以降に制限していく、という考え方に変わってきています」(同)

 その指標の一つになるのが「FGF23」というホルモン。骨から産生される物質で、血中のリン濃度を低下させる働きがある。この値を調べることで、慢性腎臓病の合併症である「リン・カルシウム代謝異常症」の早期発見が可能になり、療法食を始めるタイミングがわかりやすくなった。

 療法食はいろいろなメーカーが販売している。どれを選べばいいのだろうか。服部院長が言う。

「自社でを飼育し、栄養試験の研究に基づいた科学論文を発表しているかどうかが信頼性を左右します。メーカーが何を基準に、どういうコンセプトで栄養調整をして腎臓病用とうたっているのかを確認することです」

 また、最近は食事の補助として、窒素老廃物を栄養源として利用する善玉菌のサプリメントや、アンモニア代謝に関わるアミノ酸が主成分のサプリメントを併用することもある。

 薬物治療はステージと症状で異なり、たんぱく尿や高血圧、貧血などの治療薬が処方されることもある。17年からは「ベラプロストナトリウム(BPS)」を有効成分とする動物用医薬品「経口プロスタサイクリン(PGI2)誘導体製剤」の処方も可能になった。この薬は血管内皮細胞の障害を防ぐ、血管を拡張させる、炎症を防ぐ、血栓を防ぐという薬理作用により、腎臓の虚血と低酸素状態を改善すると考えられている。

「私の病院では、中期以降のステージで、たんぱく尿や高血圧など、より優先すべき投薬治療がない場合、腎臓を硬く小さくさせる線維化が遅くなるのを期待してBPSを使うことはあります。この薬の登場で治療の選択肢が増えたとは言えるでしょう」(同)

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