多摩川に突如現れたアゴヒゲアザラシのタマちゃん (c)朝日新聞社
多摩川に突如現れたアゴヒゲアザラシのタマちゃん (c)朝日新聞社
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「子、丑、寅、卯……」と、指を折りながら干支を数え始めてみたものの、なかなか最後までたどり着かない……。実は、そんな人もいるのでは? そう、12番目に数えられる「亥年」になりました。そう考えると、十二支が何かと話題に上る年末年始は一年で一番“動物”を意識する季節かもしれない。

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 そういえば、東京・多摩川に出没したアゴヒゲアザラシの「タマちゃん」はどこへ行ったのだろう。フィギュアスケートのアリーナ・ザギトワ選手に秋田犬「マサル」が贈られたが、7年前にプーチン大統領にプレゼントされた「ゆめ」はどうしているのだろう。二本脚で立ち上がるレッサーパンダ「風太」は今いくつ? イケメンゴリラ「シャバーニ」はまだ女性を魅了しているの? 平成をともに生きる動物たちを振り返る。

■アザラシブームの立役者 タマちゃんの今

お気に入りのボートのデッキでくつろぐタマちゃん(c)朝日新聞社
お気に入りのボートのデッキでくつろぐタマちゃん(c)朝日新聞社

 ボートにこてんと横たわったり、川面からひょっこり顔を出したり。真ん丸の瞳に柔らかく垂れたヒゲがあまりに愛らしく、一気に“国民的アイドル”のスターダムを駆け上がったのが、2002年8月7日、多摩川に突如現れた「タマちゃん」だ。野生のアゴヒゲアザラシにもかかわらず、都市部を流れる川に現れたことで話題騒然。同年の流行語大賞に選ばれ、2003年には横浜市西区から「特別住民票」が与えられるなど、一大ブームを巻き起こした。

 当時、体長約1メートルで、1歳前後だったタマちゃん。アザラシの本来の生息地域は北極付近だが、東京湾に迷いついたとみられている。

 タマちゃんが最後に姿を見せたのは2004年4月、荒川だった。当時、タマちゃんを観察するために発足した「タマちゃんを見守る会」は、15年経った今も変わらず活動を続けている。昨年10月には横浜で写真展を開催。たった2日間で200人ほど集めた。

2002年秋、再び姿を現したタマちゃんと見られるアゴヒゲアザラシ (c)朝日新聞社
2002年秋、再び姿を現したタマちゃんと見られるアゴヒゲアザラシ (c)朝日新聞社

 最盛期には約200人いた「見守る会」の登録者も、10数人になった。タマちゃんが消えた今も、全国のアザラシ目撃情報や趣味の野鳥観察の報告会などを定期的に開いているという。

 タマちゃんは今、どこで何をしているのだろうか。

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再びタマちゃんに会える可能性