9. 明神池(長野県松本市・上高地)
梓川の上流にある標高1425メートルに位置する湖水である。上高地バスターミナルからここまではよく整備された遊歩道を歩く、軽いトレッキングコースだ。湿原や梓川の流れも美しい。穂高神社奥宮境内にある神域の池で、ひょうたん形をしており、一之池と二之池に分かれている。下流側の二之池には明神岳の岩峰が映る。池のまわりの樹木はカラマツが占め、紅葉時には水面が黄色に染まる。水面に遊ぶオシドリもポイントとなろう。まるで箱庭のような雰囲気だ。南側から北側に向かっての撮影となるため、光線は朝昼夕いずれでもよい。広角から望遠までさまざまなレンズを使って撮影できる。
* * *
10.まいめの池(長野県松本市・乗鞍高原)
乗鞍高原には美しい池がたくさんある。まいめの池は一の瀬園地にある小さな池で、標高は1450メートル。池のまわりにはシラカンバやカエデなどが点在している。紅葉時には赤や黄色が水面を彩る。早朝には靄(もや)が流れ幻想的な光景を見せてくれる。湖畔の東側から撮ると乗鞍岳が水面に映る。ただし、対岸(池の西側)にカメラマンが大勢いることが多く、自分の姿が相手の画面に入ってしまい、撮影のトラブルになりかねないので、撮影のチャンスはなかなかない。撮影時間帯は朝夕を問わないが、言うまでもなく風のない日がベストだ。まいめの池のすぐとなりには湿原化した「偲ぶの池」がある。
(写真・文/五島健司)