6. 雲場池(長野県軽井沢町六本辻)
有名観光地・軽井沢を代表する紅葉の名所で、標高は940メートル。大正時代、この周囲一帯を別荘地として開発したホテルの敷地内の湧水「御膳水」を源とする小川をせき止めて造った人造池で、南北400メートルの細長い形をしている。周囲は真っ赤に色づくモミジが覆い尽くす。植樹されたものであるが、とにかく見事。自然のなかではこれほど赤だけの紅葉に出合うことはない。撮影時間帯としては、西側の岸辺を彩るモミジに朝日が当たるころがベスト。というより、朝いちばんでないと観光客でごった返して撮影は難しい。レンズは標準ズームがあれば撮影できる。周囲の道路は渋滞し、近くの駐車場はすぐに満車になるので気をつけたい。
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7. 白駒池(長野県佐久穂町/小海町・北八ケ岳)
北八ケ岳の原生林と苔の森に囲まれた、標高2115メートルにある神秘的な池である。高度2100メートル以上の湖としては日本最大の天然湖という。標高が高いので関東周辺で水鏡の撮れる場所としてはいちばん早く、9月下旬から紅葉し、カメラマンで混み合う。湖水のまわりにはドウダンツツジやナナカマド、ダケカンバが茂る。特に真っ赤に色づくドウダンツツジが見事で、主役の被写体となる。池の西側にある白駒荘付近から時計回りで、北側にある青苔荘までの遊歩道から撮影すると水面に紅葉が映り込む。山の上なので、なかなか無風にはならない。撮影時間帯としては波風の弱い朝夕がベストであろう。レンズは望遠ズームがよい。
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8. 御射鹿池(長野県茅野市・奥蓼科)
八ケ岳の山すそ、奥蓼科の標高1540メートルに位置する。農業用のため池であるが美しく、2010年に農林水産省の「ため池百選」に選ばれた。周囲は紅葉の時期に黄金色に染まるカラマツで覆われている。湖水は強酸性のため魚は住まず、湖底には酸性水を好むチャツボミゴケが繁茂し、水面にまわりの木々が映る要因となっているという。日本画の巨匠、東山魁夷の「緑響く」のモチーフになった場所として有名で、観光客の人気も高い。池の西岸から東側をねらう構図になるため、撮影時間帯は靄(もや)が漂う早朝か、光が木々を照らす夕方がよいだろう。対岸を切り取る構図なので望遠レンズによる撮影となる。