「医は食にあり」。わざわざ無駄な時間やお金を費やさずとも、病気を防ぐ「医」は毎日の食事の中にあるのです。新刊書『図解 体がよみがえる「長寿食」』を出版した“腸健康法”の第一人者である藤田紘一郎東京医科歯科大学名誉教授に、目からウロコの食事術を紹介していただきます。歳をとったら「肉」は控えるべきとよくいいますが、今回は「肉食」こそが50代からの健康の源という意外なお話。
●肉の持つコレステロールを体がそれまで以上に欲する
長寿と若返りのための食を考えるとき、私たちはこの一言を忘れてはなりません。
豆腐は良質のタンパク質を含みますが、長寿の実現には、そればかり食べていてもダメなのです。とくに、50歳を過ぎたら、肉の力が健康長寿には不可欠となってきます。だからといって、肉を食べ過ぎるのもよくありません。
50歳を過ぎたら、週2回ステーキを食べるのが、肉食の頻度としてちょうどよいと私は考えています。
なぜ、50歳を過ぎたら肉が必要になるのでしょうか。それは、肉の持つコレステロールをそれまで以上に体が欲するからです。
人が若々しく生き続けるには、性ホルモンが必要です。コレステロールは、この性ホルモンの材料になります。
性ホルモンといえば、男性は男性らしく、女性は女性らしい外見と考え方を創出してくれる物質です。子どもをつくり、生み、育てるうえで欠かせないホルモンでもあります。ただし、50歳前後、生殖期を終える頃、その分泌量は激減します。女性は閉経とともに一気に減少し、男性は加齢とともに徐々に減っていくのです。
しかし、性ホルモンは、成熟期・老年期に入った人たちにも不可欠です。
性ホルモンは、イキイキと若々しく生きる力を与えてくれるホルモンです。これが減少すると、抑うつ感や不安、疲労感、記憶力や集中力の低下、睡眠障害などが招かれます。50歳前後から、更年期障害に悩まされる人は男女ともに多くなりますが、すべての不快症状は性ホルモンの減少が引き起こすものなのです。
50歳前後に分泌能力が落ちてしまうならば、材料となるコレステロールを、意図的に多く体に入れてあげる必要が出てきます。そのためにこそ、50歳からは肉を食べ始める必要があるのです。