そんな同館の展示物は全て東京大学が開学した1877年から蓄積してきた貴重な物ばかりです。母体となる総合研究博物館に所蔵されているおよそ400万点の学術標本から選りすぐった物を頻繁に入れ替えながら展示。骨格標本や鉱物などはもちろん、偽札や蚕の木製標本など他では見られない幅広いジャンルを目にすることができます。
「東京大学に蓄積されている物のほとんどが国内初、国内最高、唯一物、天下一品、第1号、第1級などと形容されるものばかりです」と話すのは西野嘉章館長。展示物を見ようと館内を歩きだしてすぐに、ある物が無いことに気づきます。それは“順路”。
「国内外どこでも順路に従わせることが慣行化していますが、どこにその有効性があるのか、考えることを止めてしまった時代状況に改めて異議を申し立てたいのです。むしろ、来館者は自分の目で、興味ある対象を発見し、主体的に行動することを、ミュージアムのスペースで学習して欲しいと思っています」
そんなインターメディアテクも入場無料なので電車の時間や待ち合わせの時間調整にもオススメ。これが無料なのかと驚くほどの見ごたえがあります。
「審美的に美しいものを眺めることは、知性や感性を育む上での糧になります。入場無料の施設であるからといって、中身が貧しいとは限りません。無料館こそが、来るべき近未来の文化拠点として期待できる場所であるという認識を市民社会に根付かせることができればと考えています」
“凡庸でないこと”にこだわりを持ち、歴史ある建物で新しい事を提案し続けるインターメディアテク。新旧の融合という新たな博物館の挑戦を覗きに行ってみませんか?
【情報】JPタワー学術文化総合ミュージアム「インターメディアテク」東京都千代田区丸の内2-7-2 KITTE 2・3階/開館時間:11:00~18:00(金・土は20時まで)/入館無料 ※休館日など詳細は公式HPでご確認ください
(文/淺見良太)