「横山大観や藤田嗣治、ミュシャなど著名な作家や作品という選定基準もありますが、教育的価値や研究材料としての価値が高いものを中心に選んでいます」と、館長の倉地久さん。
そんな愛知県立芸術大学には他にも見どころが。それが法隆寺金堂壁画模写展示館の法隆寺金堂壁画模写です。金堂壁画といえば世界遺産の法隆寺にある白鳳文化を代表する壁画。本物は一度焼損し復元されたものが存在している事は知っていましたが、まさか大学にもあるとは。
「模写による古典技術の研究や継承、その教育的効果に着目した日本画専攻の教授が中心となって1974年から復元を始めました。実物を忠実に再現していて、原寸大である事はもちろん、経年変化による壁の剥落まで細かく丁寧に描写しています。1日で切手1枚分しか描くことが出来なかったというほど丁寧に時間をかけた作業だったそうです」
なんと、およそ16年の歳月をかけ、のべ100名弱が携わった大作です。ほかにも高松塚古墳壁画など複数模写しています。ここまでする理由は?
「古典技術の研究と修得、古典作品の理解へと繋がるからです。その色彩や形態など現代の美術では得られない普遍的な要素を学ぶことで、自身の表現に応用出来ます。また、現物が遠方にあったり、被災して焼損してしまったりしたものを学生や一般の方々に鑑賞していただくことで美術教育と地域に貢献したいと考えています」
法隆寺金堂壁画模写展示館は開館日が決まっていますのでお問合わせの上、御来館ください。
【情報】「愛知県立芸術大学芸術資料館・法隆寺金堂壁画模写展示館」愛知県長久手市岩作三ケ峯1‒114/開館時間:芸術資料館10:30~16:30、法隆寺金堂壁画模写展示館 10:00~16:00/入館無料 ※休館日など詳細は公式HPでご確認ください
■触れる化石も!キャンパスまるごと博物館 <広島大学>
広島大学のテーマは「キャンパスまるごとミュージアム」。250万ヘクタールの敷地に中心施設の本館と5つのサテライト館、さらにそれらをつなぐ「発見の小径」と称された散策路を公開しています。