おそらく世の中の国会議員の夫婦は、夫婦生活を続けること自体が選挙活動の一つで、ちょっとやそっとでは別れることなどできません。でも、夫の当選が妻にとって一番の喜びであるというのは、計算高いということではなくて、愛情の表れなのです。
私と夫は、時間があるときは家の近くのレンタルビデオ屋で、夫が好きなSFのB級映画を借りて、ソファに2人並んで、アイスのガリガリ君をかじりながら観たりしていました。
近所のスーパーに2人で食料品を買いに行ったり、そんなことがとても幸せでしたね。
「今が一番幸せ」と言う夫に救われている
――『天国と地獄』の原稿を書いているとき、結婚後に発症したうつ病の完治を医師から告げられました。
発症から20年。完治の日が来るとは思ってもいませんでした。
私はこの本で、「人間の失敗」について書きました。失敗ばかりしてきた自分の人生に何の意味があるんだろうかと考えるんです。失敗をした後、人間には何が残るのか。失敗することに意味があるのか。失敗に意味がないとすれば、意味がないことに何かの意味があるのだろうか。それが、当事者にとっては一番の問題なのです。
私は失敗の意味をまだ見つけられなくて、自分の失ったものを未練がましく思い出したりするのですが、夫は刑期を終えて、「今が一番幸せ」と言うんです。
人間は心の持ちようで、目の前のことを幸せと感じることが大切だと。君が僕を救ってくれたことが、僕にとってはこれ以上ない幸せなのだと。服役中に、それを僕は学んだんだよと言うんですよ。
夫が幸せを感じていてくれることで、私の心は救われているのだと思います。
私と夫は、結婚して24年になります。来年は、銀婚式です。
(AERA編集部・大崎百紀)
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