自分のために動いていた夫

――本の中では「夫を憎む気持ちの代わりに涙が溢れてくる」と書かれています。

 私の名前の入った千社札を作って嬉しそうに自分の携帯電話のケースに貼りつけていた姿や、猛暑の選挙戦のさなかに毎日、「がんばれ、がんばれ、負けるな」とメールを送ってくれたことを思い出すと、恨みたいけど恨めませんよ。

 私が逮捕された後、夫がお金を配った方の一覧表を見せられて、ああ、夫は私のために何千人もの人のところに足を運んでくれたんだなあと、夫への感謝やら腹立たしいやら、本当にバカな人だと思うやら、有権者に申し訳ないやら、一言では言い表せない思いでした。

 でも私の選挙ですから、彼の罪の半分は私が背負わなくてはならないと覚悟を決めました。

 周囲からは「なぜ離婚しないのか」と聞かれることも多かったですし、私自身、なぜ別れなかったんだろうと考えることもあります。でもわからないんです。本当にわからない。今もわからないです。夫婦って奥深いなって思います。
 

――これまでに克行さんと離婚することを考えたことはありましたか。

 婚約して新婚のころは毎日がつらすぎて、うつ病にかかってしまったんです。でも、政治家の妻であるからには、後援会に対しての責任があると思い込んでいた。婚約破棄や離婚なんて考えちゃダメだと思い、夫を国会に戻してから離婚のことを考えるつもりでした。

 でも、結婚後に私も県議になって、地元と支持者への責任がより深くなりましたし、夫も少しずつ成長して環境も変わっていった。離婚について考えようともしなくなりました。

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