一方のパ・リーグでは宗山、渡部以外は、入団2年目以降の選手の候補が多い。まず名前が挙がるのが4年目の達孝太(日本ハム)だ。昨年シーズン終盤にプロ初勝利をマークすると、今年は5月から先発ローテーションに定着して6連勝を記録。7月31日のソフトバンク戦で初黒星を喫してデビューからの連勝は7でストップしたが、ここまで10試合に登板して6勝1敗、防御率1.60という成績は見事という他ない。二桁勝利に到達してチームが優勝を果たすようなことになれば、逆転での新人王受賞も見えてくるだろう。
先発投手でもう一人候補となりそうなのが3年目の松本晴(ソフトバンク)だ。開幕当初はリリーフで起用されていたが、12試合連続無失点と結果を残すと、5月下旬からは先発に転向。そこから先発で4勝、リリーフ登板時の1勝も含めて合計5勝をマークしており、防御率も2.47と安定した投球を続けているのだ。達に比べると早めに降板する試合が多いのは気になるが、チームのリリーフ陣が強力なのも追い風と言える。こちらも二桁勝利に届けば十分新人王の可能性はあるだろう。
ルーキー以外の野手で筆頭候補となるのが2年目の寺地隆成(ロッテ)だ。昨年は高卒1年目ながらイースタン・リーグで2位となる打率.290をマーク。今年は開幕一軍入りを果たすと、4月18日の楽天戦では1試合2本塁打を放って大きな話題となった。4月下旬からは正捕手に定着すると、ここまで81試合に出場して打率.266、5本塁打、26打点という成績を残しており、81安打は両リーグの新人王有資格者の中でもトップの数字である。守備面はまだ課題は多いものの、高卒2年目の捕手でこれだけの数字を残せる選手はなかなかいないだけに、有力候補の一人となりそうだ。
近年は即戦力として活躍できる選手は少なくなっていると言われるが、逆にプロ入り後わずかの年数で驚きの成長を遂げるケースは増えているように見える。それだけにルーキーも入団2年目以降の選手も切磋琢磨して、最後までハイレベルな新人王争いが繰り広げられることを期待したい。
(文・西尾典文)
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