中日のルーキー捕手、石伊雄太が新人王レースに急浮上(写真提供・日刊スポーツ)
中日のルーキー捕手、石伊雄太が新人王レースに急浮上(写真提供・日刊スポーツ)
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 プロ野球のペナントレースも残り約40試合となり、個人タイトルの行方も徐々に気になる時期となってきた。中でも注目度が高いのが一度しか受賞することができない新人王だ。今年はセ・リーグでは伊原陵人(阪神)、パ・リーグでは宗山塁(楽天)と渡部聖弥(西武)というドラフト上位で入団したルーキーが開幕から成績を残してリードしてきたが、ここへ来て他にも候補となる選手が浮上し、混戦模様となってきた印象だ。

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 まずセ・リーグで伊原の対抗馬となりそうなのが中日の金丸夢斗、石伊雄太の2人だ。4球団が1位競合した金丸は昨年春に腰を痛めた影響でキャンプからはスロー調整が続き、開幕は二軍スタート。ようやく5月に一軍昇格を果たすと、味方の援護に恵まれない試合が続いてなかなか勝ち星はつかなかったが、伊原と投げ合った8月7日の阪神戦で10試合目の登板で初勝利をマークした。

 ここまで勝敗は1勝4敗と負け越してはいるものの、先発した全ての試合で5回以上を投げ切っており、先発投手が役割を果たした基準と言われるクォリティスタート(6回を投げて自責点3以内)も10試合中8試合と常に安定した投球を見せている。チームも開幕から出遅れていた細川成也が調子を上げ、新外国人のチェイビスも既に2本塁打を放つなど打線が上向いているのもプラス材料だ。ここから連勝街道を突き進んで伊原を追い抜く可能性もあるだろう。

 そして現時点で金丸を上回る活躍を見せているのが石伊だ。開幕当初は課題の打撃成績が芳しくなく、5月8日には一度登録抹消となったが、木下拓哉の故障で5月31日に再び一軍に昇格すると6月11日の楽天戦では5打数5安打を記録。この試合をきっかけにスタメンマスクをかぶる試合が増え、ここまで54試合に出場して打率.270、2本塁打、14打点という成績を残し、守備面でもセ・リーグでトップとなる盗塁阻止率.424をマークしているのだ。40安打という数字もセ・リーグの新人王有資格者の中でトップの数字である。ルーキーがなかなか活躍することが難しい捕手というポジションでこれだけの活躍を見せている例は近年ないだけに、この状態を維持することができれば、石伊の得票率もかなり高くなりそうだ。

 セ・リーグのその他の選手では、ヤクルトのドラフト3位ルーキーである荘司宏太も存在感を示している。開幕からブルペン陣の一角に定着すると、いきなり12試合連続無失点を記録。5月に一度コンディションを崩して登録抹消となったが、6月に復帰した後も安定した投球を続け、ここまで29試合に登板して失点したのはわずか3試合で15ホールド、防御率1.52という成績を残している。中継ぎ投手はどうしても印象に残りづらく、なかなか記者投票の票が集まるのは難しいと見られるが、それでも候補の一人となる可能性は高いだろう。

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