大会初日(8月5日)から10日までの2部制導入期間は、入場券を午前と夕方で分けて販売する方式だったために空席も目立った。その中でも外野席では、スコアボードや照明灯の日陰部分に観客が密集する光景が目についた。
「本来なら指定された席以外での観戦はNGだが、炎天下で何かあっても困るので黙認状態。2日目以降はテレビ映りを考えてなのか、スコアボード周辺に誘導する係員の姿も目についた。現状では『何があっても甲子園に足を運んで観たい』と思う人も減るはず」(高校野球に詳しいスポーツライター)
日陰の席を探すか、コンコースのエアコン周辺でモニターを通して観戦するか。酷暑下の甲子園での選択肢は2つに絞られるようだ。(もしくは熱中症のリスクを負ってでも、日向で試合を観るか……)
「関係各所も動いている。両校応援団のために“応援団臨時休憩所”も作られた。2028年春完成を目指し、アルプス席への屋根設置も行われる。しかし酷暑はこの先も進むことが予想され、将来的には外野にも屋根を付けることになるのではないか」(甲子園球場関係者)
アルプス席への屋根設置には約150億円かかるとされる。近年の資材価格高騰も加わり、さらに費用が膨らむことが予想される。加えて、「今後は外野席にも屋根が必要」の声が出始めており、引き続き解決策を模索している。
「屋根が付いても観客全員が日陰に入れるわけではない。スタンド内にもエアコンを設置、屋根を活用して冷気が籠るようにすべき。建設・運営コストはかかるが、屋外の甲子園開催を継続するならそれしかない」(在京テレビ局スポーツ担当者)
「内外野の観客席を屋根で覆って、屋外型の甲子園を持続すれば良い」という意見が聞こえる。米国球場等では観客の快適環境を維持するために見られる形態だ。
「砂漠地帯アリゾナのチェイス・フィールド(MLBダイヤモンドバックス本拠地)は、開閉式球場だが試合中は屋根を開ける。その際もクーラーを効かせているので、外気が50度近くても快適そのもの」(在京テレビ局スポーツ担当者)