できる限りの「微調整」を

 私自身、「今日もなんとなく寝つけなかったな」という夜には、翌日の夜は早めに就寝したり、日中に15分から30分ほどの軽めの仮眠をとるなど、無理をしないように意識しています。たとえば、翌日に必ずしもやらなくていいことは、できるだけ予定を変更するなど、小さな調整を心がけています。「体調を崩す前に調整する」という感覚も、医師として日々の現場で身につけてきた習慣のひとつなのかもしれません。

 とはいえ、仕事をしていれば、日中に予定を変えるのは簡単ではないのも現実です。私も以前、臨床現場に立っていた頃は、そうした柔軟さはまったく持てませんでした。 患者さんの対応や急な呼び出し、外来診療の枠を私ごとで開けることはできないなど、予定変更がほとんど不可能な日々の中で、睡眠不足のまま動くしかない場面も多々ありました。

 そんな中でも、昼休みにほんの10分でも目を閉じて仮眠をとることや、その日の夜はできるだけ早く寝るように意識するなど、限られた中でできる「微調整」が、役に立っていると思います。寝つけない夜には、無理に我慢することなく眠剤を使用し、翌日の仕事に影響が出ないように、工夫したりもしています。

 完璧な睡眠を毎晩目指すのではなく、コンディションに応じて「整える」「ゆるめる」感覚を持つこと。すべてを「頑張りすぎない」ことも、夏を無事に乗り切るための大切な知恵ではないでしょうか。

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