日本は途上国の水準でも中程度
よく考えると、以上縷々述べてきた予想される失敗は、自民党の失われた30年、特に安倍政治の失敗のリフレイン、繰り返しだということに気づく。
こうしたことが続けば、当然ながら、日本の経済はお先真っ暗。「大敗北」への道を歩むしかないだろう。
「大敗北」のパターンは大きく分けて3つだ。
1つ目は、台湾有事などに巻き込まれるか、あるいは自らそれを引き起こす側に入り、日中紛争が始まるが、戦争嫌いの米国トランプ大統領は本格参戦しない。日本は敗戦するかボロボロになるまで長期戦を続けるかだ。これは敗北どころではなく破滅の道だ。
2つ目は、戦争にはならないが、過大な軍拡予算の負担と野放図なバラマキにより、財政危機に陥る。物価上昇と金利上昇が極端な形で進む。地方財政も苦しくなり、インフラがボロボロになり、最後はゴミ収集も来なくなるほどに事態が進んで、国民がようやく財政は事実上破綻したと悟るという「大敗北」パターンも十分にありうる。
3つ目は、原発推進と従来型産業政策の継続により、産業競争力が凋落を続け、賃金は周辺アジア諸国よりも低くなる。外国人労働者に来てもらえなくなり、人手不足が深刻でも、賃金は上げられず生活環境は著しく悪化する。あらゆるものが輸入頼みとなり、しかも普通の日本人には手が出ない。ベトナムやインドネシア、さらにはナイジェリアなど、「経済的に下とみなしていた」途上国からの観光客が高額消費するのを横目で羨ましそうに眺めながら、日本の大敗北を実感するが、生活水準の低下はどうやっても止める術が見つからない。日本は途上国の水準でも中程度の国になってしまったと気づく。緩やかな「大敗北」のパターンだ。
その頃までには、人々の政治リテラシーが向上し、自分たちが間違ったということに気づく。もう手遅れではあるが、気づかないよりはマシ。そこまで来て微かな希望が見えるということだろうか。
5年後なのか10年後なのか。早く事実上の日本破綻、大敗北の日が来た方がいいのかもしれない。
この悲惨な道を避けるには、何よりも右翼連合政権の成立を阻止することが必要だ。
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