
8月5日に開幕する第107回全国高校野球選手権。7月29日には地方大会も全て終了し、49の代表校が決まったが、地方大会の終盤に見事なパフォーマンスを見せたドラフト候補についてレポートしたいと思う。
まず取り上げたいのが未来富山のエース、江藤蓮(3年)だ。旧チームからエースとして活躍し、昨年夏は富山大会でベスト4に進出する原動力となった左腕である。今年4月に行われたU18侍ジャパン強化合宿にも招集されると、チームの不祥事で対外試合が行えていなかったにもかかわらず140キロを超えるスピードをマークしてアピールした。
今夏、江藤の投球を見ることができたのは富山大会準決勝の富山第一戦だ。相手は春の県大会で優勝しているチームだったが、そんな強豪を相手に江藤は立ち上がりから安定したピッチングを披露。8回に味方のエラーで1点は失ったものの、被安打3、4四死球、8奪三振、自責点0で完投勝利をおさめた。
この日は相当な暑さということもあってストレートの最速は144キロにとどまったが、立ち上がりから9回まで常時140キロを超えており、アベレージの出力の高さとスタミナ面は高校生では間違いなく上位である。たくましい体格でフォームのバランスも良く、本格派左腕でありながら制球力も高いというのも大きな特長だ。決め球であるスライダーのスピードと変化の幅にバリエーションがあり、緩急をつけるカーブ、チェンジアップなど変化球のレベルも高い。
続く高岡商との決勝も一人で投げ抜いて見事にチームを初優勝に導いた。早くからプロ志望を明言しており、甲子園でも左腕では最注目の存在となりそうだ。
右投手では惜しくも地方大会で敗れたものの中野大虎(大阪桐蔭3年)、柴田淳之介(立命館宇治3年)、富田櫂成(帝京大可児3年)の3人が目立った。
中野は早くから投手陣の一角に定着し、昨年夏の甲子園でも活躍した実績を持つ。これまではまとまりはあるものの、スケール感には欠ける印象だったが、大阪大会準々決勝の履正社戦では立ち上がりから145キロを超えるストレートを連発し(筆者のスピードガンでは最速148キロ)、大きく成長した姿を見せた。